昭和48年版 通信白書

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7 行政と通信

 現代における行政の役割は極めて重大なものとなってきている。福祉社会を指向する現代においては政府が国民生活全般に深い関係をもち,公共の福祉の実現に積極的に寄与しなければならない課題を担ってきている。これに伴い,高度化する政策決定,複雑化する実施事務,膨大化する事務量に対処し,更に国民に対する窓口サービスの改善を行うため,電気通信の果たす役割は大きい。現在,国及び地方自治体においてその所掌事務の円滑な運営を図るために,加入電話,加入電信を利用するほかに専用の通信網を設けているものが多い。最近においては,単に行政事務の運営のほかに国民に対するサービスの向上,特に窓口事務の改善の見地から積極的に電気通信を活用する傾向が強くなってきている。
 例えば,行政事務の末端機関として国民と直接接触する市町村においては,事務の簡素化,窓口事務の改善を図るため,ファクシミリシステムを使用するものが次第に多くなってきている。現在,ファクシミリシステムは,東京都渋谷区,中野区,藤沢市,千葉市,水戸市,長野市等に設置されており,戸籍謄抄本,身分証明書,住民票,印鑑登録証明等の受付け,交付事務に有効に使用し,住民へのサービス向上に寄与している。
 一方,中央省庁においても,運輸省の自動車登録検査事務,労働省の職業紹介事務,外務省の旅券発給事務等増大する行政事務に対応し,窓口事務の改善を図り,国民に対するサービスを向上するため,データ通信を含め,高度の電気通信技術が活用されている。特にデータ通信については現在計画中のものも相当数あり,今後一層増大することが予想されている。このため,これらシステムの効率的利用を図る必要があるところから,45年度以来,行政管理庁及び郵政省が協力してデータ伝送,ファクシミリ通信及び電話のための総合的な通信ネットワークである行政情報通信ネットワーク(Administrative Information and Communications Network)の構想の検討を進めており,これまで基本構想の検討,行政情報流通の実態調査,システム設計など基礎的な調査研究を行っている。

 

 

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