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3 日本電信電話公社の情報通信事業(1) 概 要ア.データ通信設備使用契約 電電公社は,データ通信設備使用契約に基づき,電気通信回線及びこれに接続する電子計算機等からなる電気通信設備を一体として設置し,利用者にサービスを提供している。このサービスを電電公社は「データ通信設備サービス」と称している。このサービスは,[1]一般利用者が共同利用するシステムサービス,[2]特定利用者の特定業務を対象としたシステムサービス,に大別される。 [1]のタイブのシステムは,電電公社があらかじめ用意したサービスを共同利用するいわばレディ・メイド型システムであり,「販売在庫管理システムサービス」及び「科学技術計算システムサービス」がある。 [2]のタイプのシステムは,電電公社がユーザの求めによりその対象業務に応じたサービスを提供するいわばオーダー・メイド型システムであり,「運輸省自動車検査登録データ通信システム」,「全国地方銀行データ通信システム」などがその例である。 なお,プッシュホン(押しボタン電話機)で簡易な計算を行う「電話計算システムサービス」は加入電話の付加サービスであってデータ通信設備使用契約に基づくサービスではないが,便宜上,(2)一般利用者が共同利用するシステムのなかでとりあげることとした。 (2) 一般利用者が共同利用するシステム ア.概 要 一般利用者が共同利用するシステムは,電電公社があらかじめ設置したデータ通信設備を不特定多数の者の利用に供するものであり,47年度末現在のシステムは,第3-4-24表に示すとおりである。 イ.販売在庫管理システム (DRESS-Dendenkosha Real time Salesmanagement System) (ア) サービス概要 このシステムは,利用者が日々の営業活動において発生する多種多様の売上げ,入金あるいは入出庫等の変動データをデータ宅内装置(端末装置)からインプットすることにより中央処理装置にあらかじめ記憶してある商品台帳,顧客台帳等の内容を常に現状に維持し,販売・在庫管理上必要な各種の伝票や資料を作成するサービスを提供するものである。 (イ) システムの機能 販売在庫管理システムの構成は第3-4-25図に示すとおりであり,このシステムは次の機能をもっている。 [1] 伝票の作成及び利用者ファイルの内容の更新 [2] 利用者ファイルの内容の間合せ及び変更 [3] 販売在庫管理資料の作成 [4] メールボックス・ファイルの利用 (ウ)処理形式 このシステムの処理形式には,処理結果が即時に得られる即時処理方式及びあとでまとめて処理する一括処理方式がある。 (エ)利用状況 <1> 現状 販売在庫管理システムの47年度末現在における利用状況をユーザ数,端末装置台数でみると第3-4-26表に示すとおりであり,173ユーザがこのシステムを利用しており,端末装置台数は635台であるが,ユーザ数及び端末装置台数ともに東京及び大阪でその77.5%を占めている。名古屋,福岡及び札幌が少ないのは,サービス開始後まだ日が浅いためである。 また,1ユーザ当たりの平均端末装置台数は第3-4-27表に示すとおりであり,東京及び大阪のセンターにおいてやや高くなっているのは,大都市におけるほど利用企業の事業規模が大きく,より多くの端末装置を要するためとみられる。 なお,札幌で平均5台と高くなっているのは全ユーザ数4のうち1ユーザが10台利用しているためである。 このシステムのユーザの業種別構成は,第3-4-28図に示すとおりであり,卸売業約50%,製造業約40%となっている。またユーザの平均事業規模は第3-4-29表に示すとおりである。 <2> 年度別推移 利用状況の年度別推移を端末装置台数でみると第3-4-30図に示すとおりである。 ウ.科学技術計算システム(DEMOS-Dendenkosha Multiaccess Online System) (ア) サービス概要 このシステムは技術計算及び経営科学計算を大型電子計算機によりタイムシェアリング方式で処理するサービスを提供するものであり,46年3月に東京,同年6月に大阪,47年8月に名古屋でそれぞれサービスが開始されている。 このサービスは,建築構造計算,橋りょう計算,土木計算,熱伝導計算,混合率計算,各種機械設計計算,車両船舶設計計算,レンズ設計計算,スプリング設計計算,電線弛度計算,天体観測計算,照度計算,写真測量計算等の技術計算及びLP,PERT,シミュレーション等の経営計算に適用される。 (イ) システムの機能 科学技術計算システムの構成は第3-4-31図に示すとおりであり,このシステムは次の機能をもっている。 [1] 電電公社があらかじめ用意しているライブラリ・プログラム等を用いて行う計算 [2] プログラムの作成 [3] 利用者が作成したフログラムを用いて行う計算 [4] 利用者ファイルの作成及び維持 (ウ) 処理形式 このシステムの処理形式には,処理結果が即時に得られる即時処理方式及びあとでまとめて処理する一括処理方式がある。 (エ) 利用状況 <1> 現 状 科学技術計算システムの47年度末現在における利用状況をユーザ数,端末装置台数でみると第3-4-32表に示すとおりであり,294ユーザがこのシステムを利用しており,端末装置台数は332台であるが,ユーザ数,端末装置台数ともに東京及び大阪でそれぞれ86.1%,86.7%を占めている。 また,1ユーザ当たりの平均端末装置台数は,第3-4-33表に示すとおりで,科学技術計算システムではユーザの大部分は1台の端末装置を用いており,販売在庫管理システムにおける場合と比べ各センターによって差がないのが特徴である。このことは,科学技術計算システムにおける端末装置台数はユーザの事業規模とあまり関係がなく,各ユーザが1台の端末装置を設置すればその利用目的を達せられるものであるためとみられる。 このシステムのユーザの業種別構成は,第3-4-34図に示すとおりであり,建設業約60%,製造業約20%となっている。またユーザの平均事業規模は,第3-4-35表に示すとおりである。 <2> 年度別推移 利用状況の年度別推移を端末装置台数でみると第3-4-36図に示すとおりである。 エ.電話計算システム(DIALS-Dendenkosha Immediate Arithmetic & Library System) (ア) サービス概要 このシステムは,一定のサービス区域内のプッシュホン(押しボタン電話機)で簡易な計算が行われるものであり,プッシュホンから計算式を入力すれば,簡単な数値計算から相当高級なライブラリ計算までを手軽に行えるサービスである。 (イ)システムの機能 このシステムの構成は第3-4-37図に示すとおりであり,ライブラリ計算,定義計算,直接計算の機能をもっている。 (ウ) 処理形式 このシステムの処理形式は即時処理方式である。 (エ) 利用状況 電話計算システムのセンターは東京及び大阪に設置されているが,横浜,名古屋,京都及び神戸にはマルチプレクサ(回線集線装置)が設置され,利用者はそれを介して東京及び大阪のセンターにアクセスすることができるシステム構成になっている。このシステムを利用できる区域は,センターあるいはマルチプレクサの設置された単位料金区域及びその隣接単位料金区域であるが,これらの区域におけるプッシュホンの加入数は第3-4-38表に示すとおり,合計26万5,000台である。 (3)特定利用者の特定業務を対象としたシステム 特定利用者の特定業務を対象としたシステムは,相互に関係のある特定多数の者又は企業体の要望に応じて電電公社がデータ通信設備を設置し利用者の用に供するもの(各種システム)で,そのサービス内容は利用者の要望をもとにして定められる。 電電公社が,47年度末現在提供しているこのタイプのシステムは17システムあるが,これを対象業務別にみると,第3-4-39表に示すとおり,15システムが金融業務を対象としたものである。また,預金業務を扱っているシステムは15システム中12システムにのぼり,金融機関のオンライン化は自営システムの場合と同様に,一般預金者を対象とした窓口サービスの改善にその重点が置かれていることがうかがえる。 年度別サービス開始システム数は第3-4-40図に示すとおりであるが,47年度において9システムと多いのは,地方銀行(3システム)のほかに,相互銀行(2システム),信用金庫(1システム),農業協同組合(2システム)など中小金融機関にもオンライン化導入の動きがでてきたためであると思われる。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
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