昭和48年版 通信白書

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第3節 有線放送

1 有線ラジオ放送

 有線ラジオ放送は,昭和12年茨城県水戸市において,当時の逓信省と社団法人日本放送協会が実験的に設置したラジオの共同受信施設にはじまる。しかしながら,47年度末現在,有線ラジオ放送施設7,642施設のうち,ラジオの共同受信のみを目的としたものはほとんどない。その多くは,農山漁村において地域の情報や農事関係のニュースを流すもの,街頭において宣伝広告を行うもの及び都市において飲食店等に音楽を送るものである。
 農山漁村において地域の情報や農事関係のニュースを流しているものには,このような情報を有線放送するのみのものと電話業務をも併せて行う有線放送電話とがある。47年度末現在,前者は3,940施設,後者は1,725施設である。
 街頭放送を行っているものは,47年度末現在,1,502施設で,個人又は法人が運用しているもの,あるいは当該施設のある地区の商店街が運用しているもの等がある。
 都市において飲食店等に音楽を流すものは,有線音楽放送と通称され,47年度末現在401施設があり,約12万店の利用者がある。経営主体は営利を目的とした法人又は個人であるが,全国に多数の施設を有する大規模なものがある一方,他の事業と兼業で数十人の顧客を対象にごく小規模に経営しているものもある。
 月額利用料は,対象が飲食店等であるためもあって,3,000円〜5,000円とかなり高額である。
 この有線音楽放送設備については,法違反その他種々の問題が発生している。[1]無届けないし虚偽の届出で設置する例,[2]電電公社又は電力会社の電柱あるいは家屋軒下に無断で放送線を添加する例,[3]無許可で道路を占用する例,[4]競争業者の放送線を切断する例,がそれである。
 上記[1],[2]及び[3]の問題は,一の設備の設置に際して同時に重複して生ずる場合が多いので,47年8月,郵政省と建設省,電電公社及び電気事業連合会において申合せを行い,手続きの明確化を図るとともに規律強化の協力体制を築き,問題の解決に努めている。
 [1]の無届けの問題については,行政指導を強化し,無届けで設置した業者に対し警告書を発送(47年度中11件)して届出を行わせたほか,有線電気通信法違反で告発(同1件)を行った。
 [2]の無断添架の問題については,郵政省は,設置届の受理にあたって添架承諾の有無を確認し,承諾を得られないものについては受理しないこととしているが,電電公社等においては,無断添架を発見した場合は直ちに撤去催告を行い,これに従わない業者に対しては仮処分申請に基づく強制撤去な行っている(47年度中電電公社9件,電力会社2件)。電柱への無断添架は47年8月には全国で約3万本(うち公社柱約2万本)あったが,47年度末現在では約1万3,000本(うち公社柱約8,000本)に減少している。
 [4]の放送線切断の事例は,45年10月前後に東京,大阪,神戸,金沢ほか11都市で発生し,切断箇所は数百か所に及んだ。これは業者間のシェア争いに起因するものであり,最近はこの種の大きな事件は発生していないが,この危険を絶えずはらんでいる。

 

 

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