昭和48年版 通信白書

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2 郵便物の流れと利用構造

(1) 地域間交流状況
 全国各地で差し出された郵便物はどのようなところにあてられているのだろうか。
 郵政省では3年ごとにあて地別の物数調査を行っているが,最近では45年9月に行った。これによると,我が国の郵便物の地域間交流状況は次のような傾向を示している。
ア.郵便物は近距離にあてられたものが多い。
 郵便物は,その大半(全国平均57%)が引き受けられた都道府県(以下「県」という。)内で配達されており,しかもそのうちの約3分の1は引き受けられた郵便局で配達されている。
 また,この割合は過去の調査結果と対比してみると,徐々に増大する傾向にある(第3-1-2図参照)。
 もう少し細かくみると,大都市及びその近接県は総じて自県あての割合が低く,逆に地方県においては高い傾向にある。特に奈良県,東京都23区,大阪市における自県あての割合はそれぞれ40%,44%,49%で全国の最低位にあり,これに対し,北海道,高知県がそれぞれ85%,73%と最高位を示している。
イ.郵便物は,大都市では引き受けが配達より多い。
 配達郵便物数と引受郵便物数の比をみると,東京都23区,大阪市,名古屋市,京都市,札幌市,仙台市,広島市,福岡市においては,引受郵便物が配達郵便物を上回っているが,他の地域においてはすべて配達郵便物が引受郵便物を上回っている。
ウ.郵便物は東京都から来るものが多い。
 配達郵便物についてみると,通常郵便物においては,自県内で引き受けられたものが最も多い。他県から入ってくるものの割合をみると,東京都と兵庫県を除くすべての県において東京都からの郵便物が第1順位となっており,東京都の比重は非常に大きい。
 なお,東京都と兵庫県は大阪府からの郵便物が第1順位である。
エ.郵便物は東京都にあてられたものが多い。
 ア.で述べたように引受郵便物の約6割は自県あてであるが,他県あてのものの主要あて地は大部分が大都市及び近接県となっている。
 他県にあてられた郵便物をあて地別にみると,46都道府県中38県が東京都を第1順位としており,他県から東京都にあてられた郵便物は,全国の他県あて郵便物数の17.4%を占め,東京都から東京都へあてたものを含めて東京都には全国で差し出された郵便物の約20.6%が集中している。
 残り8県の第1順位をみると,京都府,兵庫,奈良,和歌山の各県は大阪府,東京都は神奈川県,岐阜県は愛知県,香川県は愛媛県,佐賀県は福岡県である。
 第2,第3順位をみると近接県が多い。
(2) 郵便の利用構造
 42年度に行われた「事業用郵便の利用に関する調査」及び43年度に行われた「普通世帯に発着する郵便物の調査」によれば,郵便の利用者及び利用目的は次のとおりである。
ア.郵便の利用者
 郵便物の差出人と受取人とをそれぞれ事業所と家庭とに分け,相互の交流状況をみると第3-1-3表のとおりである。
 これをみると,家庭から家庭への郵便物は全体の約20%にすぎず,その他の郵便物は何らかの形で事業所が関係しているものであり,いわゆる業務用通信の比重が大きいことがわかる。
イ.郵便の利用目的
 郵便の利用目的別構成は第3-1-4図のとおりである。
 これをみると,家庭(個人)から家庭(個人)あてに差し出される郵便物(19.8%)のうち80%に相当するものが私的通信(15.8%)であり,また,事業所から家庭あてに差し出される郵便物(46.0%)のうち宣伝広告を目的としているものが3分の1を占めている。
(3) 郵便物引受の波動性
 郵便物の引受状況をみると,一日の時間帯によっても,また月によっても相当波動性がみられる。
 一日のうちの時間別波動をみると比較的夕刻以降の差出しが多く,ビジネス地域では特にこの傾向は顕著である(第3-1-5図参照)。
 月別波動をみると,贈答用小包や年賀状の出回る12月及び1月の引受郵便物数が多い。特に12月は平常月の3倍を示している。次いで暑中見舞や中元関係の多い7月及び8月が多くなっている(第3-1-6図参照)。

第3-1-2図 自局区内あて及び自県内あて郵便物数の割合

第3-1-3表 事業所家庭間郵便交流状況

第3-1-4図 郵便の利用目的別構成

第3-1-5図 日本橋郵便局における時間別郵便物引受状況(普通通常郵便物)

第3-1-6図 月別通常郵便物引受状況

 

 

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