昭和56年版 通信白書

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第2節 災害時における通信の役割

1 情報ニーズと通信メディア

 災害時においては,防災関係機関及び住民を中心に,被害状況のは握,安否の確認,復旧の見通しなど様々な情報ニーズが発生し,それらは災害の時間経過とともに変化していく。
 第1-2-3図は,災害の経過時期を予報・警報期,発災期,避難救援期復旧期の4段階に分け,各時期における代表的な情報ニーズとそれに対応する通信メディアを示したものである。
(1)予報・警報期
 防災関係機関や住民が適切な防災対策を講ずる上で,欠かすことのできないものに注意報や警報などの事前情報がある。地域的にきめ細かく,正確で迅速な事前情報の提供のためには,気象や地震等の観測データが可能な限りリアルタイムで収集されることが望ましい。このため,全国各地の観測拠点からのオンラインによる各種データの収集,国際的な気象通信網の構築,気象衛星からのデータの収集等が行われており,観測体制の強化を図る上で通信の果たす役割は大きい。
 一方,警報等を住民に伝達するルートとしては,ラジオ,テレビ等による放送ルート,防災行政用無線等による市町村の広報ルートなどがあるが,これらの情報は伝達に際しては即時性,正確性が極めて重要であるところから放送系メディア及び同報無線が主力となる。
 また,警報等の発令に伴う防災関係機関や住民の情報収集,問い合わせには主として電話が利用されることになろう。
(2)発 災 期
 災害による混乱を鎮め,二次災害を防止するためには,発災直後住民が冷静な行動をとれるよう適切な情報を提供する必要がある。このためのメディアとしては即時性の高い放送メディア及び同報無線が主力となる。
 住民サイドからの情報ニーズとしては,救急車の出動要請や防災関係機関に対する被害状況の連絡などのニーズが強くでてくると考えられ,電話がその役割を果たすことになろう。
(3)避難救援期
 この時期においては,避難指示や地域ごとの被害状況のは握等,地域の状況に応じたきめ細かい情報が必要とされる。このため,行政機関を結ぶ防災行政用無線等の無線通信網が被災地との情報連絡に活用されることになる。
 住民に地域の情報を提供するメディアとしては,放送系メディアや回報無線が用いられることになる。
 また,家族の安否確認などのニーズが強く出てくる時期であり,電話が中心的な役割を果たすことになろう。
(4)復 旧 期
 電気,ガス,水道等生活手段の復旧見通しや食料,日用品等の生活情報に対するニーズが強い時期であり,これらの情報は地域性が求められるところから,放送系メディアにより地域向け情報が提供されることになる。
 また,防災関係機関等では復旧のために被災地内外とで大量の情報交換が行われ,電話が中心的役割を果たすことになろう。さらに,家族,親類等のの安否確認等にも電話が利用されることになろう。

第1-2-3図 情報ニーズと対応する主な通信メディア

 

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