昭和56年版 通信白書

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6 航空運送事業用

 航空運送事業の分野においては,航空機の正常運航及び機体整備,円滑な地上業務の推進及び乗客に対するサービスの向上等のために,運航管理通信,陸上移動通信及び固定通信等の通信系が設定されている。
(1)移動通信系
 ア.運航管理通信等
 国が直接行う航空機の航行の安全のための航空交通管制通信に対して,定期,不定期の航空運送事業者が自社の航空機の整備,運航その他航空機とう乗者に関する一般事務等に関し,事業用として行う通信がある。このような通信を一般に運航管理通信と称している。
 現在,我が国には,日本航空,全日本空輸,東亜国内航空,日本アジア航空,日本近距離航空,南西航空等旅客,貨物の輸送を行う運送事業者のほか,広告宣伝,農薬散布,各種の測定,乗員養成,訓練等を行う航空機使用事業者が多数存在しているが,これらの事業体(約50社)が自己の事業用として航空局,航空機局等の無線局を開設し,専用の通信(主にVHF帯による。)を行っている。
 国際路線に就航中の航空機の航空運送事業者間の通信は,米国のARINC社のホノルル,サンフランシスコ,ニューヨーク及びサンファンの各局,また,英国航空のスピートバードロンドン局及びケープルアンドワイアレス社のホンコンドラゴン局を介して(短波帯による。)行われている。
 このほかに,警察庁及び海上保安庁が治安維持活動のために,また,新聞社がニュース取材活動のために,航空機を運航しており,航空機局及び航空局を開設して,運航に関する通信及び業務に必要な事項の通信を行っている。
 イ.陸上移動通信
 空港内における航空機の整備,駐機場の管理,とう乗者の誘導及び荷物の搬入,搬出等に関する通信は,陸上移動通信により行われている。
 この通信系は,管理部門と作業現場との間及び作業現場相互間において,作業の効率化のために行われるものであり,主に定期航空運送事業者によって使用されている。56年3月末における日本航空,全日本空輸及び東亜国内航空三社の無線局数の合計は,基地局が64局,移動局が919局となっている。
(2)固定通信系
 ア.データ通信
 大手の定期航空運送事業者においては,運航,運送(旅客及び貨物),営業,整備及びその他の一般的な業務を迅速かつ適確に処理し各部門において直ちに必要な情報が得られるようにデータ通信システムが導入されている。
 このシステムは,各支店,各営業所,旅行代理店及び本社の各部門の端末機とコンピュータとが特定通信回線で結ばれており,座席予約,運航情報,フライトプラン,気象情報等の各システムのほかに資材管理,営業統計の分析等に広範に利用されている。
 国際路線就航機の乗入地については,国際特定通信回線又は国際航空通信協同体(SITA)の回線を利用し,テレタイプ系を含め,データ通信網が構成されている。
 イ.その他
 コンピュータが利用されていない業務分野及びデータ通信を導入していない航空運送事業者においては,電話,ファクシミリ,テレタイプ及びテレックス等が使用されている。
(3)国際航空通信協同体(SITA)
 SITAは,民間航空の業務用通信を取り扱うため,24年2月にベルギー国内法に基づき設立された非営利の団体であり,「加盟航空会社の業務運営に必要な情報を伝送するため,各国における電気通信手段を研究し,電気通信設備を設置し,取得し,及び運用を行う。」ことを目的としている。
 SITAに加盟している航空会社は,55年度末で241社であり,回線網は,154か国に及んでいる。我が国では,日本航空,全日本空輸及び日本アジア航空がこの回線を利用している。
(4)統合通信方式等による無線電話
 新東京国際空港(成田)及び那覇空港においては,国等が行う航空交通管制のための通信を除き,一般の空港内航空関係無線通信は,原則として,国際電電及び電電公社が提供する公衆通信業務を利用して行っている。
 大阪国際空港内においては,航空関係無線通信の一部が公衆通信として取り扱われている。

第2-3-17図 空港における陸上移動通信系の概略図

 

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