昭和56年版 通信白書

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第2部 各  論

第1章 郵  便

 第1節 概  況

 郵便事業にとって,昭和55年度の最大の課題は事業財政の再建であった。
 51年1月の郵便料金改定で一時好転した事業財政も,53年度から再び欠損を生じ,54年度末における累積欠損金は2,124億円に達した。
 こうした中で,54年10月郵政審議会に対し,郵便事業財政を改善する方策について諮問し,同年12月「この際郵便料金の改定を行うことはやむを得ない」旨の答申を得た。この答申の趣旨に従い,郵便事業財政を改善するなどのため封書60円,葉書40円(ただし,55年度中は30円)とし,料金改定の実施時期を55年10月からとする内容を織り込んだ「郵便法等の一部を改正する法律案」が第91回通常国会に提出されたが,審議未了のため廃案となった。同内容の法律案が再度第92回特別国会に提出され,第93回臨時国会に引き継がれ,実施時期を修正の上,成立をみた。その結果56年1月20日から封書,葉書の料金が改定され,また,省令で定めることとされている第三種郵便物第四種郵便物及び特殊取扱いの料金の改定も同時に実施され,55年10月1日から実施された小包郵便の料金の改定と併せ,懸案であった事業財政の建て直しを図る第一歩が踏み出された。
 また,今回改正された郵便法では,料金の改定のほかに,郵便事業に係る累積欠損金が解消されるまでの間,一定の範囲及び条件の下で第一種郵便物及び第二種郵便物の料金は,郵政大臣が郵政審議会に諮問した上,省令で定めることができることとされた。
 郵便物数の動向についてみると,55年度の年間総引受物数は,約158億通(個)で前年度に比べ約5億通(個),率にして3.1%増加した。しかし,内国小包郵便物は,料金改定後大幅な減少を示したこともあって,前年度に比べ7.7%減少した。
 事業財政についてみると,55年度は,当初55年10月1日からの料金改定を予定し,24億円の黒字を見込んでいたが,小包郵便物を除く他の郵便物の料金改定実施時期が遅れたことなどにより,371億円の欠損となり,55年度末における累積欠損金は2,495億円に増加した。
 郵便業務運行は,年度当初から業務運行体制の確立,送達速度の安定と正規取扱いの励行,業務運行困難局個別対策の強化を図り,業務の正常運行の確保に努めた結果,年間を通じておおむね順調に推移した。また,年間を通じて最大の繁忙期である年末年始においても年賀郵便物,一般郵便物とも一部に雪害により滞りが生じたものの,全体としては極めて順調な送達を確保し,元日には22億3,800万通の年賀郵便物を配達した。
 近年,郵便物数の伸びが鈍化の傾向を示しているが,事業の健全運営のためには積極的に郵便需要を拡大し,収入の確保を図っていくことが欠かせない要請となっている。
 郵政省では収入の確保のために,大口利用者を対象としたコンサルタント活動,ダイレクトメールの利用促進を図るためのDM講習会の開催,手紙の良さを国民に知ってもらうための「ふみの日」キャンペーンの展開等各種の施策の充実強化にも努力している。更に,国民のニーズに合った新しい商品やサービスの開発にも努めており,55年度においては広告つき葉書の発行のための諸準備やファクシミリ型電子郵便の実験サービス開始に向けての諸準備等に積極的に取り組んできた。
 

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