昭和56年版 通信白書

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2 電波の監視結果

 52年度から毎年度「不法電波一掃月間」を設定し,期間中,関係機関の協力を得て不法無線局の取締りを強化するとともに,一般市民に対する電波法令に関する知識の普及を図るための広報活動を重点的に実施してきた。
 55年度における電波監視の業務別の実施結果は,次のとおりである。
(1)電波の質及び無線局の運用の監査
 監査局数及び違反局数は,第2-6-15表に示すとおりである。過去3年間における違反率をみると,電波の質については,53年度0.07%,54年度0.08%,55年度0.07%であり,無線局の運用については,53年度2.76%,54年度1.42%,55年度2.56%となっている。
 また,上記の監査のほかに,150MHz帯,400MHz帯の陸上移動業務の局及び簡易無線局を対象として「通信系を単位とする運用監査」を実施しているが,55年度監査した通信系の数は,10,360件であり,その結果,通信方法の違反等軽微な違反が多く,電波法令違反について行政指導を行ったものは,1,378件でその率は13.3%である。
(2)混信調査
 調査実施件数は,171件で,そのうち固定で実施したもの35件,移動により実施したもの136件であった。
 混信調査は,既設無線局等に対する混信妨害の原因を究明して,妨害波を排除し,無線局等の正常な運用を確保するため実施している調査であって,混信の発生原因は,周波数帯別にみると,短波帯(3,000kHz〜30MHz)においては外国の無線局,超短波帯(30MHz)以上の周波数帯において国内の無線局に起因するものが多い。
(3)不法無線局の探査
 不法無線局の摘発局数は,第2-6-16表に示すとおりである。
 これを周波数帯別にみると,26MHz〜27MHz帯が最も多く,次いで150MHz帯,400MHz帯の順となっている。
 また,用途別には,不法市民ラジオがその約91%を占めて最も多く,そのほとんどのものが我が国では市民ラジオとして使用することが認められていない多数の周波数を切り替えて発射できる高出力の機器を使用していたものである。
 過去3年間における不法無線局の摘発局数を年度別に見ると,53年度1,715局,54年度3,123局,55年度3,918局となっている。
 昨年度に引き続き,本年度も増加の著しいハイパワー市民ラジオ等の不法無線局の一掃を目指して,9月に「不法電波一掃月間」を設定するとともに,7月,11月及び1月に特別監視を実施した。
 しかしながら,大型車両等の移動体に開設された不法無線局については,減少しない状況にある。
 この対策として,現行の電波法の規定では,無線局を運用したという証拠が得られないと摘発できず,移動体に設置された不法無線局については,特にその立証が困難であることから,電波法の一部を改正して,免許を受けずに無線局を開設した者に対しても,電波法第110条の罰則が適用されることとなったので,施行日(58.1.1)までに一般国民の間にそごを生じせしめないよう,周知の徹底を図るため,広報活動を行い,広く国民の理解と認識を深める必要がある。
(4)電波の発射状況調査,利用状況調査等
 電波の発射状況調査及び利用状況調査の実施状況は,第2-6-17表に示すとおりである。電波の発射状況調査は,必要とする周波数帯について,そのスペクトルの空間的占有状況をは握し,周波数の効率的な利用を図るために実施している調査であって,無線局の分布状況及び電波の伝搬特性を考慮して,固定及び移動により調査を行っている。
 電波の利用状況調査は,特定の周波数を対象として,そのスペクトルの時間的な占有状況をは握し,電波が効率的に利用されているか,また,通信の疎通状況に問題がないかどうかを調査するものであって,固定及び移動により調査を行っている。
 調査の対象を周波数帯別にみると,その大部分が超短波帯(30MHz)以上となっており,特に150MHz帯及び400MHz帯が多くなっている。
 以上の調査のほか,IFRBからの協力要請に基づく国際監視及び高周波放送専用周波数帯の調査を行っており,その実施状況は,第2-6-18表に示すとおりである。
 これらの調査の結果は,電波監視業務の計画策定上の資料とするほか,周波数の監理,技術基準の策定等の資料として活用されている。

第2-6-15表 電波の監査状況

第2-6-16表 不法無線局の摘発状況

第2-6-17表 電波の発射状況調査及び利用状況調査の実施状況

第2-6-18表 国際監視及び高周波放送専用周波数帯調査の実施状況

 

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