昭和56年版 通信白書

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13 サイトダイバシティ

 衛星通信では,増大する通信需要に対処するため,従来使用されてきた674GHz帯に加えて,10GHz以上の新しい周波数帯を使用する傾向が,我が国を含めて国際的に強まっている。しかしながら,10GHzを超える周波数帯では,降雨による電波の減衰が無視できなくなり,特に,高い周波数帯を使用する場合及び衛星の仰角が低くなる場合に降雨減衰が顕著になる。
 衛星通信における降雨減衰の影響を軽減する有力な方法の一つにサイトダイバシティがある。サイトダイバシティは,20km程度以上離れた二地点間の降雨の相関が小さいことから,そのような二地点にそれぞれ地球局を設置し,一方の地球局の回線品質が降雨によって基準値を下回った場合に,他方の地球局に切り替えて回線を確保する方式である。
(1)ミリ波帯サイトダイパシティ
 郵政省電波研究所は,実験用静止通信衛星(ECS「あやめ」)を用いて,約40km離れた同所鹿島支所及び平磯支所の間で,ミリ波帯サイトダイバシティ通信実験を計画した。しかしながら,衛星を静止軌道に投入するためにアポジモータに点火したところ,衛星からの電波が途絶し,実験の実施が不可能となった。このため,設備を改修し,56年度からCSの準ミリ波帯を用いてサイトダイバシティ通信実験を行うこととしている。
(2)14/11GHz帯サイトダイバシティ実験
 インテルサットV号系衛星では,6/4GHz帯に加えてスポットビーム用に14/11GHz帯が使用される。我が国からは,インド洋衛星の仰角が低いため,降雨の影響を受けるおそれがある。国際電電は,インド洋V号衛星を対象に,山口衛星通信所及び浜田国際中継所に実験システムを設置してサイトダイバシティの各種伝搬資料の取得及び通信実験を行うため準備を進めている。
(3)サイトダイバシティ効果
 電電公社では,CS実験の一環として,CSの20GHz帯の下り回線における降雨減衰を横須賀及び横浜で測定し,サイトダイバシティ効果の基礎資料を得ている。

 

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