昭和56年版 通信白書

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第4章 データ通信

第1節 概  況

 電子計算機等を電気通信回線に接続してデータの伝送と処理とを一体的に行うデータ通信は,ここ数年来順調な発展を遂げてきたが,昭和55年度においても総体としては昨年度とほぼ同様の発展を示した。
 まず,データ通信回線の利用状況をみると,国内データ通信回線数は,昨年度とほぼ同様の伸びを示し,26%の増加となった。このうち特定通信回線にあっては規格別の構成比からみればユーザがその音声帯域を自由に利用できるD-1規格が49%を占めている。他方,公衆通信回線にあっては電話型回線の占める割合が多く89%を占めている。また,国際データ通信回線も25%増と大きな伸びを示した。
 次に,データ通信のシステム数については,国内データ通信システムは,55年度末現在5,879のシステムが設置されており,対前年度比26%,1,211システムの増加となった。また,国際データ通信システムは,55年度末現在156システムが設置されており,対前年度比29%,35システムの増加となっている。
 データ通信サービスを他人の需要に応じて提供する情報通信事業は,電電公社,国際電電及び民間企業により営まれている。我が国の情報通信事業は全米的,全世界的なネットワークを形成している米国の情報通信事業に比べると,事業規模やネットワーク規模等からみても小規模なものがほとんどであるが,最近においては,ネットワーク・インフォメーション・サービス(NIS)へ発展しようとする動きが現われてきている。
 データ通信システムは,近年の電気通信技術,電子計算機技術,ソフトウェア技術等の発達に伴い,従来のような集中処理方式から分散処理方式へと移行していく傾向がみられ,他方では,異なるデータ通信システム相互間を接続して電子計算機の処理能力やデータベースを効率的に共同利用する,いわゆる資源共有型のコンピュータ・ネットワークへと発展していく動きもみられる。このようなネットワーク化の動向に対応して,コンピュータ・メーカはそれぞれ独自のネットワーク・アーキテクチュア構想を発表しており,CCITT等においては,データ通信におけるプロトコルの標準化作業が進められた。郵政省においても,推奨通信方式として「汎用コンピュータ・コミュニケーション・ネットワーク・プロトコル(CCNP)」を告示した(55年11月)。また,電電公社は,ディジタル伝送交換技術を利用した,データ通信等に適した新しいサービスとして,回線交換サービス(54年12月)及びパケット交換サービス(55年7月)の提供を開始した。国際電電においても,わが国の利用者が外国のデータベースにオンラインでアクセスし,情報検索等を行うために用いられる新しい国際ネットワークサービスである国際コンピュータ・アクセスサービス(55年9月)を開始した。
 

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