昭和51年版 通信白書

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1 国際電気通信サービスの需要構造

 国際電気通信の主要業務である国際電報,国際加入電信(テレックス),国際電話及び国際専用回線について,利用業種及び通信対地の面から概括的にその需要特性をみると以下のとおりである。
 最初に,国際電気通信業務の業種別利用構成をみると第1-2-21図〜第1-2-24図のとおりである。国際間の業務用記録通信として発展してきた国際電報及び国際加入電信については,商工業(貿易商社,製造業等),陸海運倉庫業及び金融保険業のいわゆる貿易関連業種の利用が両サービスの90%前後を占め,これらのサービスと貿易活動との密接な関係を示している。利用構成の経年変化をみると,いずれにおいても金融保険業(大部分が銀行である。)の比率が増加しており,特に,電報については他業種のほとんどが絶対的利用水準の低下をみている中にあって,金融保険業の利用は増加しており,外国為替業務を中心とする対外銀行業務の国際電報依存度には根強いものがあると言える。
 次に国際電話の業種別構成をみると,電報,テレックスと比較して貿易関連業種の利用比率は相対的に小さく,個人とサービス業(大部分がホテル)が全体の約30%を占めている。このことは,国際電話が経済外的な人的交流,文化交流等の要因によっても影響を受けていることを示唆している。国際専用回線の業種別構成については,前述のように,金融保険業の利用が増えているため,商工業の比重が低下している点が特徴的である。
 次に,各業務の対地(州)別利用構成を示したものが第1-2-25図〜第1-2-28図である。業務全般についていえることは,アメリカ(州)の比率が減少し,アジアのそれが増加していることである。特に構造変化が著しいのは国際電話で,対アジア通話は40年度20万度で全通話度数の39%に過ぎなかったが,50年度には510万度(同約60%)と過半数を占め,アメリカとその地位を逆転させている。対アジア通話のうち83.6%が韓国,台湾及び香港との通話であり,料金や時差の点で通話条件が比較的に有利であるとともに,我が国とこれら諸国との経済的,人的交流の密度の高さを表しているといえよう。アジアの比重増大は加入電信においても顕著であり,アメリカ及びヨーロッパと並んで加入電信サービスの三大市場を形成している。専用回線については,まず,電信回線の州別構成をみると,香港を中心とするアジアの比重が増大し,アメリカとヨーロッパのそれが低下してきている。後者の地域では,電信回線から音声級回線への移行が進んでいることなどからこの傾向は当然といえる。また,音声級回線の利用構成については,やはりアジアの比率が増加傾向にあり,50年度末現在ではアメリカの40%に次いでアジアは32%を占めている。

第1-2-21図 国際電報業種別利用構成の推移

第1-2-22図 国際加入電信業種別利用構成の推移

第1-2-23図 国際電話業種別利用構成の推移

第1-2-24図 国際専用回線業種別利用構成の推移

第1-2-25図 国際電報対地(州)別利用構成の推移

第1-2-26図 国際加入電信対地(州)別利用構成の推移

第1-2-27図 国際電話対地(州)別利用構成の推移

第1-2-28図 国際専用回線対地(州)別利用構成の推移
 

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