昭和51年版 通信白書

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2 電話サービスの多様化技術

 近年の生活水準の向上と福祉社会指向に伴い,電話サービスに対する要望は量的拡大とともに,質的にも高度化し,多様化により便利で快適なものが強く求められるようになってきている。このような要請に応ずるため,電電公社では,新しい電話サービスの開発を積極的に推進することとし,効用が期待できるもの,公共性があり社会福祉に役立つもの,地域社会の発展に寄与し得るものなどを中心に技術的検討が行われ,実用化が進められている。
 小型軽量で使いやすく,魅力的なデザインの電話機への要望にこたえるため,従来のプッシュホンに比べ約3分の1に小型軽量化した,ざん新で操作性の良いミニプッシュホン(700P形電話機)が開発された。ミニプッシュホンは通話回路をすべてIC化するとともに,世界に先駆けて小型電磁型送・受話器を採用し,小型軽量化を図っている。機能的には,ハンドセットに再発呼用フックスイッチを組み込み,またベルに代えてトーンリンガ方式を採用し,スピーカ受話等新しい機能を備えたほか,卓上,壁掛兼用の形式として生活の多様化に対応できるよう工夫している。
 公衆電話についてはサービスの向上をはかるため押しボタンダイヤル式公衆電話機が実用化された。
 電話宅内装置の福祉対策用機器としては,難聴者のための電話機(シルバーホン(めいりょう))及び主に一人暮らし老人を対象とした電話装置(シルバーホン(あんしん))が実用化された。
 シルバーホン(めいりょう)は,聴覚障害者用として受話増幅器をハンドセットに内蔵しているほか,通常の人との共用を考慮して,音量調節ダイヤル及び操作ボタンがハンドセットの上部に取りつけられている。この開発と同時に,可視式の閃光式着信表示器(フラッシュベル)及び低周波附属電鈴(シルバーベル)が実用化された。
 シルバーホン(あんしん)は一人暮らしの老人が日常はもちろん緊急時にも容易にかつ間違いなく利用できるように配慮された電話装置であり,通常の電話機能のほか,ワンタッチ式自動ダイヤル機能,受話音量増幅機能,カセットテープによる緊急メッセージ自動送出機能等を備えている。
 一方,電話局から遠く離れた比較的需要の少ない過疎的地域に対して経済的に電話の充足を可能とするため,ディジタル加入者線多重化方式,加入者線搬送方式,マルチアクセス加入者線無線方式及び過疎地域用加入者交換方式の4方式の試験が進められている。
 

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