昭和51年版 通信白書

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4 行政用ファクシミリ通信システム

(1) 開発の経緯
 郵政省は,46年度以来行政管理庁と共同して,各省庁の協力を得て,行政情報通信ネットワーク(AICON)の基礎的な調査研究を進めてきた。48年度からはAICON関連技術開発として,行政機関における文書情報の流通特性に適合した効果的なファクシミリ通信システムの開発を行うこととし,これを郵政省が担当することとなった。
 48年度及び49年度の2年度では,行政機関における文書流通特性に適合した機能(自動送受信,高速化,蓄積同報通信等の各機能)を持った,行政用標準ファクシミリ装置仕様書及び行政用標準ファクシミリ同報装置仕様書を作成公表し,政府行政機関における今後のファクシミリ装置導入に資することとした。50年度以降は,より効率的,経済的なファクシミリ通信システムを構成するため行政用標準ファクシミリ装置と市販の低速ファクシミリ装置との相互接続を目的とする異種ファクシミリ接続装置の開発を行うこととした。
(2) 開発の内容
ア.行政用ファクシミリ通信システム構想の明確化
 50年度は,行政機関における文書流通の実態調査(47年度)と,各省庁のファクシミリ通信に関するアンケート調査(50年度)の結果をもとにして,省庁単位にファクシミリ通信網の形状モデルを作成し,併せて省庁別の文書量に応じた通信網の規模,すなわち回線数,ファクシミリ装置,同報装置等の台数の算出方法と,ファクシミリ通信網の形状モデルを示した。
イ.行政用標準ファクシミリ装置の性能
 48,49年度にまたがる研究の成果として取りまとめた行政用標準ファクシミリ装置仕様書にもとづき,50年度製造した実用機一対向を用い性能試験を行ったところ,了解度は,明朝体漢字活字を伝送した場合, 4号活字で100%,5号活字で98〜99%であり,充分実用に供し得ることを実証した。伝送速度はB4判1,000字程度の筆記文書で約1分半(4,800b/sモデム使用の場合)であり,この装置に採用した符号化方式の優秀性が確認された。
ウ.異種ファクシミリ接続装置の開発
 異種ファクシミリとして市販シェアの大きな低速ファクシミリ装置を選定し,行政用標準ファクシミリからの信号を受信する場合の装置を開発した。画面の大きさ,走査線密度,速度等,方式の異なるファクシミリ相互間で通信を行うためには,それらの変換を行う必要がある。変換の方式については理論的検討の結果,コンピュータ処理方式を採用することに決定し,50年度においては,この装置を試作し試験を行なった。その結果,方式変換後の受信画の変換に伴う劣化は,了解度では,2, 3号活字の場合は認められないが,4号活字の場合,約2%の劣化である。4号活字以上の大きさの活字体では実用上支障がなく,一応の成果を得たと考えているが,細部についてはまだ不明確な点があるので,51年度シミュレーション試験を行い最終結論を出すこととしている。
 51年度には,この技術開発を継続実施し,さらに改善を行うことを予定している。
 

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