昭和51年版 通信白書

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第2節 国内公衆電気通信の現状

1 電電公社業務

 電電公社は,27年に「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し,公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し並びに電気通信による国民の利便を確保することによって公共の福祉を増進することを目的として」(日本電信電話公社法第1条)設立された公共事業体で,国際電気通信業務以外の公衆電気通信業務を「迅速且つ確実に」,「合理的な料金であまねく且つ公平に提供する」(公衆電気通信法第1条)ことをその任務としている。
(1) 電   報
 電報は,明治時代以来国民一般の緊急通信手段として,我が国の文化・経済等の発展に大きな役割を果たしてきたが,電話や加入電信,データ通信等の新しい電気通信手段の出現,発達によって,これらのサービスに代替され,次第に利用通数が減少するとともにその性格にも大きな変化が生じてきた。また,利用通数の減少に加え,人件費等の諸経費の増高によって電報事業の収支は,毎年大幅な赤字を続けており,電電公社の事業経営上大きな問題となっている。
ア.電報取扱機関
 電報取扱いについては,電報局,電報電話局をはじめ,電電公社の委託により郵便局その他において受付配達等の業務が行われており,50年度末におけるこれらの電報取扱機関のうち,電報局,郵便局等の主なものの状況は第2-2-1表のとおりである。
イ.利用の状況
 電報通数は,近年減少の一途をたどっており,50年度には4,525万通と前年度に比べて2%の減少となっている。
 国民1人当たりの年間利用通数についてみても,40年度の0.9通に対し50年度は0.4通となっている。
 一方,最近における利用内容をみると,電報はかっての緊急通信手段としての性格を大きく変化させている。すなわち,第2-2-2図のように総電報通数中に占める慶弔電報(慶弔用の特別紙を用いて配達される電報)の割合がますます大きくなっており,慶弔用以外の電報についても,「チチキトク」のような緊急連絡用のものはごくわずかで,儀礼的なもの,又は企業がその活動に利用する業務用が大部分を占めているものと推定されている。
(2) 加入電信
 加入電信は,任意の相手方と50b/sの符号伝送が可能な交換網サービスで,31年のサービス開始以来,企業における情報化指向,事務合理化の機運にマッチし,その需要は着実に伸びてきている。しかし,今後ファクシミリに代表される新しい記録通信手段が普及するにつれて,加入電信普及のすう勢にも大きな変化が生じるものと思われる。
ア.普及の状況
 50年度末現在,加入電信加入区域は880区域,加入数は7万4千加入(対前年度比6%増(第2-2-3図参照))となっている。
イ.利用の状況
 加入電信加入者の業種は,製造業からサービス業まで多岐にわたっている。その利用内容を見ると,かつては専らメッセージ通信用として用いられていたものが,企業の事務合理化の進展につれ,伝票伝送,データ伝送に比重が移り,更に最近では電子計算機と直結したデータ通信としての利用も増えてきている。
 また,1加入当たりの通信料は,他の通信手段の発達や,利用の少ない層への普及を反映して,下降傾向を示しており,40年度が月額1万9,283円であるのに対し,50年度は月額1万2,497円となっている(第2-2-4図参照)。
(3) 電   話
 電話は,交換網を通じて任意の相手方との間に音声通信を行うことが可能な典型的なパーソナル電気通信メディアであり,その代表的なものは加入電話及び公衆電話である。
ア.普及の状況
 電話は,通信技術の革新及び経済の発展,生活水準の向上等の要因によって急速に普及し,いまや日常生活や企業活動に欠くことのできない基幹的な通信手段としての地位を占めるに至っている。
 その普及状況を,加入電話を例にとり,実質国民総生産の伸びと比較すれば第2-2-5図のとおりである。また,電話機数は,第2-2-6図のとおり年々増加して,50年度末には4,323万個に達し,人口100人当たりの普及率は38.4個となっている。
 このような電話の普及とともに,企業活動における事務の合理化の気運,あるいは,国民生活水準の向上等を反映し,その利用方法も多様な附属装置等を設置することなどによって,高度化,多様化の傾向を深めてきている。
(ア) 加入電話
 50年度末現在,加入電話総数は3,170万加入であり,このうち単独電話は2,761万加入,共同電話は216万加入,構内交換電話57万加入,事業所集団電話20万6千加入,地域集団電話115万2千加入となっている。なお,地域団体加入電話組合加入回線及び有線放送電話接続回線をも含めた加入電話等の総数は31,702,109加入(対前年度比10%増)となっている。
 公社発足当時から,加入電話の需給の状況は,需要が供給を大きく上回っており,たえず多くの積滞を抱えて推移してきた。しかし,近年新規需要の発生がある程度落ち着く一方,公社の供給力も飛躍的に増大し,積滞数は徐々に減少している。50年度末における一般加入電話の積滞数は約48万と前年度に比べ51万減少しており,全国的な規模での積滞解消という目標に更に一歩近づいたものといえよう。
 加入電話の人口100人当たりの普及率は第2-2-9図のとおりで,50年度末において28.2加入となり,10年前に比べ約3.8倍となっている。
 加入数の推移を事務用,住宅用の利用種別でみると,第2-2-10図のとおりで,近年,住宅用電話の伸びが著しく,電話が日常生活に必須なサービスとなっていることを物語っている。すなわち,50年度は事務用電話39万の増加に対して,住宅用電話は251万の増加と新規架設の約9割を占め,これにより年度末における住宅用電話の構成比は63.5%に達した。
 このような加入電話の普及にもかかわらず,地域集団電話の一般化,普通加入区域の拡大による過疎地域への電話の普及等なお解決を要すべき問題は多く残されている。
 地域集団電話は,農山漁村地域等における集団的な電話需要に対して設置される多数共同電話であるが,生活条件の変化等による通話量の増大に伴い,一般の加入電話への変更の要望が強くなってきている。公社では,46年度から,逐次計画的に一般加入電話への変更を実施してきており,50年度においては8万7千加入の一般化が行われた。
 また,現在,普通加入区域外に設置される一般の加入電話については,通常の料金のほか,特別の負担が課せられることとなっており,このため,普通加入区域の拡大又は負担の軽減について多くの要望が寄せられている。公社では,これらの要望にこたえるため,48年度から順次半径5km内までの普通加入区域の拡大を行っており,自動式局については52年度末までに完了する予定である。
 なお,50年度末現在,普通加入区域外に設置されている加入電話は10万5千加入となっている。
(イ) 地域団体加入電話
 地域団体加入電話は,農山漁村地域における電話普及対策の一つとして誕生した組合加入方式による電話であるが,地域集団電話等の普及に伴い最近は年々減少しており,50年度末施設数は57箇所(組合本電話機数4千個)で前年度末に比べ34箇所(組合本電話機数6千個)減少した。
(ウ) 公衆電話
 公衆電話には,個人等に管理を委託している赤電話(店頭公衆電話),公社直営で電話ボックス等に置かれている青電話(街頭公衆電話),10円硬貨のほか100円硬貨も併用できる遠距離通話に便利な100円公衆電話等がある。50年度には,赤電話1万9千個,青電話1万6千個,100円公衆電話6千個の合計4万1千個の公衆電話が増設され,年度末には総数67万6千個,人口千人当たり6個の普及率となった。また,加入電話で公衆にも利用できるよう電話機が硬貨投入式となっているピンク電話は50年度末総数63万6千個となっている。
(エ) 特殊な電話
 電電公社の電話網を形成する電話サービスには,以上述べた加入電話や公衆電話のほかに,船舶や列車といった移動体に設置する電話等特殊な通話需要を満たすための電話があり,その主なものの状況は次のとおりである。
A.船舶電話
 日本近海を航行する船舶に設置される無線電話で,これら船舶と陸上との間,又は船舶相互間の通話に用いられている。その加入数は50年度末8,363加入となっている(第2-2-12図参照)。
B.列車公衆電話
 国鉄新幹線列車に設置されている公衆電話で,新幹線列車の乗客が,沿線の都市の加入電話等と通話を行うことができるものである。
 50年度における1列車当たり利用度数は18.2回である。
C.警察通報用電話,消防通報用電話
 110番,119番として親しまれている警察や消防機関への緊急通報用電話で,犯罪通報,出火報知,人命救護用の請求等に用いられている。
 50年度末における設置数は1万5千加入となっている。
D.着信用電話
 利用度の多い加入電話の加入者等の請求に基づいて,通話のそ通を円滑にするため設置される電話で,発信機能はなく着信専用に用いられている(第2-2-13図参照)。
E.タクシー呼出電話
 タクシー事業者等の請求に基づいて,公衆が参集する場所等に設置される電話で,一般公衆がタクシーの配車をタクシー事業者に請求することにのみ使用するものである。50年度末設置数は693となっている。
F.支店代行電話
 区域外通話料に相当する費用分を着信者側で負担する新しい形態の着信専用の電話で,企業等がある地域に支店,事業所等を設ける代わりにその地域の電話取扱局と直結した電話機を本社に設置し,その地域から本社への通話については区域内通話料の負担だけですむようにしたものである。50年度末の設置数は28となっている。
G.着信転送電話
 企業等が,構内交換電話又は事業所集団電話にかかってきた通話を必要に応じて支店,出張所等へ転送することができるようにしたもので,転送した通話に要する通信費用は企業等が負担するものである。
(オ) 電話に関するその他のサービス
 経済の発展,社会活動の高度化,複雑化に伴い,企業における合理化,省力化の要請はますます強くなり,また,国民の生活様式が大きく変化し,より快適な生活を求めて消費材やサービスに対する要求が多様かつ高度なものとなっている。
 電話サービスについても,従来のようにただ単に通話ができれば良いというだけではなく,より便利かつ高度な機能を備えることが求められており,そういった要求を満たすため各種の技術開発が進められてきた。
 その主なものとしては,プッシュホン,電話ファクス,ホームテレホン(小型簡易交換電話装置),ビジネスホン(簡易交換電話装置)といった各種附属装置等及びキャッチホン(通話中着信サービス),DIALS(電話計算サービス)といったサービスがある。その状況は第2-2-14図以下のとおりである。
(カ) 設備等の自営
 電話に関する設備のうち,構内交換電話の交換設備や内線電話機,また,単独電話等の附属電話機,接続機器及び附属装置については,公社が提供するだけでなく,電話の加入者等が自ら機器を調達し,一定の条件の下で設置することができるようになっている。これによって加入者は自らの要望にあった機器を利用する機会が増え,電話の機能は更に大きく広がることとなる。これら自営設備の主なものの状況は第2-2-17図以下に示すとおりで,近年は留守番電話装置,ファクシミリ装置,ビジネスホンといった各種の特殊な機器のほか,公社が通常提供する電話機(黒電話機)とは異なる多彩な外観を持つ,いわゆる「装飾電話機」を附属電話機として加入者の好みに合わせて設置する例が増えている。
(キ) テレホンサービス
 テレホンサービスは,一定の電話番号に電話をかけるとトーキー案内装置等により,あらかじめ録音されている各種の情報を知らせてくれる新しい電話の利用方法である。
 そのサービスの提供主体は,公共機関,民間企業,福祉団体等各界に及び,したがってそのサービス内容も,観光,スポーツ,レジャー情報,生活情報をはじめ求人案内,営業案内等に及び極めて多彩である。
 サービス件数,回線数は第2-2-20図に示すように毎年激増を続けてきたが,49年以降はその増加が鈍り,サービス件数は50年度においてはやや減少した。案内種別別実施状況及び利用状況は第2-2-21表のとおりである。
イ.利用の状況
 電話の利用状況をダイヤル通話の総通話回数についてみると第2-2-22図のとおりであり,従来,例年5〜10%近くの増加を示していたが,49年度は石油ショックに続く経済不況の影響を受けて対前年度比1.6%増にとどまっていた。しかし,50年度は,一般的な景気回復のすう勢を反映して,総通話回数336億5千3百万回(対前年度比2.4%増)と若干回復しており,安定的成長の方向へ一歩踏み出したものと思われる。
 また,利用回数の少ない住宅用電話の比率が年々増加してきた結果,1加入1日当たりの電話利用回数は第2-2-23図のとおり年々減少する傾向を示している。
 一方,1加入当たりの電話料金支払額(月額)は,第2-2-24表のとおりで徐々に緩やかな下降傾向を示しているが,50年度は4,700円と前年度よりも若干増加している。
(4) 専用サービス
 公衆電気通信設備の専用(専用サービス)は,特定の者が特定の地域相互間において公衆電気通信設備を排他的に使用するもので,その料金が定額制であることから企業等が多量の通信を行うのに適した通信手段であり,加入電話や加入電信とともに社会,経済の発展に重要な役割を果たしている。
 なお,専用(A〜F規格)に関する料金については,50年7月に利用者の負担の公平と料金体系の合理化を図ることを主たる目的として,[1] 距離区分の簡素化,[2] 短距離料金と中・長距離料金の格差の是正等を内容とした大幅な改定が行われた。
 専用サービスに対する需要は,今後拡大を続けるものと思われるが,前記の料金改定によって,専用回線利用の80%以上を占めている短距離回線の料金が大幅に値上がりしたこと及び情報化の進展に伴い通信利用が高度化しつつあることなどにより,その需要構造に変化が生じてくることも予想される。
ア.専用サービスの制度
 現在,専用の制度は専用回線の特性,用途に応じてA規格からL規格までの9規格(G,H,Kの規格は未設)にシリーズ化され,各規格は更に伝送方式及び使用方法により,D-1(帯域使用),D-2(音声伝送)のように20種類に細分化されている(附属資料第12表参照)。なお,専用回線の端末機器については公社が提供する以外に,一定の条件の下で利用者が自ら設置することも可能となっている。
イ.専用サービスの現状
 利用状況を回線数について見てみると,A〜J規格の回線数は50年度末で25万5,843回線と49年度に比べ約4千6百回線(約2%)減少している(第2-2-25図参照)。
 専用の回線数が減少したことは,昭和27年度以来初めてのことであるが,これは,オンライン化の進展に伴うデータ通信への移行,料金改定による短距離回線の整理等によるものと思われる。
 規格別にみると,3.4kHzの周波数帯域を使用するD規格が21万回線と全体の83%を占め,従来年間約5%程度の安定した増加を続けていたが,50年度においては約1万回線(対前年度比5%)の減少となっており,これが専用回線数の減少の主たる要因をなしている。
 D規格の中では,D-2が通常の音声伝送が可能なもので,電話用として広く利用され,利用数は約20万回線とD規格全体の93%を占めている。
 D-2以外では,データ伝送,模写伝送にも利用できるD-1(帯域使用)及びデータ伝送用のD-5 (1,200b/s交流符号伝送)の利用は49年度に比べそれぞれ2%,15%の減となっている。
 D規格に次いで多く利用されているのはA規格である。A規格は,現在A-1(50b/s直流符号伝送)のみが設定されているが,電信をはじめデータ伝送,遠隔制御等に利用され,その利用回線数は4万3千回線で前年度に比べ19%増と著しい伸びを示している。
 その他のB,C,E,F,I,Jの各規格については,専用サービス全体からみれば,まだ利用が多いとはいえない。I規格及びJ規格は48kHz又は240kHzという広帯域の周波数帯域によるもので,これを分割して多数の電話に用いたり高速度のデータ伝送に用いるなど多彩な用途に利用できるものである。48年11月から一般に開放され,50年度末の回線数は175回線(49年度末151回線)となっている。
 なお,L規格は4MHzの周波数帯域の伝送が可能なもので,カラー映像信号及び音響信号伝送用としてテレビジョン放送中継に利用されており,NHK及び民間放送各社の50年度末現在の利用状況は回線延ベキロにして4万5,456kmとなっている。
(5) その他のサービス
 近年,産業,行政,教育等の広範な分野において,従来の電信電話サービスでは十分満たされない電気通信需要が発生しているが,電気通信技術の目覚ましい発展に基づく新システムの開発により,これら需要に応じて,新しいタイプの公衆電気通信サービスが提供されている。
 その代表的なものには次のような例がある。
ア.高速模写伝送サービス
 伝送可能線路距離おおむね35kmの範囲内において,通常12kHzの周波数帯域を用いて専ら模写伝送を行うもので,官庁,銀行等の利用もあるが,大部分は地方自治体の本所・支所間の模写伝送(戸籍謄本の伝送等)に利用されている。
 50年度末現在の利用回線数は,1,387回線で49年度に比べ133回線増加している。
イ.映像伝送サービス
 伝送可能線路距離おおむね20kmの範囲内において,通常4MHz以下の周波数帯域を用いて専らテレビジョンの白黒又はカラーの映像伝送(放送事業者が行う放送以外の目的のものに限る。)を行うもので,その利用状況は50年度末現在138回線で,49年度に比べ30回線増加している。このうち113回線(82%)は警察の交通管制センタと主要交差点間を結んで交通管制用として利用されている。また,このほか,官庁,新聞,放送,その他一般の銀行,会社の事務管理用としても用いられている。
 なお,カラーの映像伝送は現在のところホテルに宿泊する外人客を対象として外国語によるニュース,買物案内等を伝送するものが東京及び大阪にそれぞれ一つずつあるのみである。
ウ.高速道路通信サービス
 高速道路における自動車事故や非常事態の発生に際し,迅速,的確な措置を採るための非常電話,移動電話のほか,道路管理者の業務管理用電話等を一体的システムとして提供するもので,高速道路網の整備に伴い,ハイウェイ時代に不可欠な通信手段として普及してきた。
 50年度末現在,東名高速道路全区間をはじめ,東北縦貫自動車道,中国縦貫自動車道,近畿自動車道,九州縦貫自動車道,東関東自動車道等に利用されている。
エ.48kb/s交換網サービス
 任意の加入者間で,自動交換方式による48kb/sの符号伝送又は最高画周波数24kHzのファクシミリ伝送を行うことが可能な広帯域交換網で,51年3月東京及び大阪の一部を対象として試行的にサービスが開始された。50年度末現在利用者は皆無であるが,今後大容量の情報伝送に対する需要が多くなってくれば,電子計算機を接続してのデータ通信や,高速ファクシミリ伝送に逐次用いられることとなるものと思われる。
オ.ポケットベル
 ポケットベルサービスは,加入電話から特定の携帯無線受信機(ポケットベル)の加入者番号をダイヤルすると,無線基地局を経由して自動的に電波が発射され,これを受けたポケットベルの携帯者に「呼出し」を受けていることを知らせるサービスで,外出している人に連絡するのに最適の無線個別呼出しの手段である。
 このサービスについては,民間企業が電電公社の委託を受けてポケットベルの調達,保有,加入,料金徴収,保守等に関する業務を行っている。
 我が国では,43年7月東京(23区)で開始され,次いで大阪,名古屋と続き,逐次主要地方都市に拡大されてきており,50年度末においては,第2-2-26図に示すようにサービス提供地域は42地域,加入数は52万加入である。
 その加入状況は,提供地域別にみると,第2-2-27図のとおりであり,業種別にみると第2-2-28図のとおりである。
(6) 電信電話料金改定の動向
ア.改定への動き
 電電公社の経営状況が悪化してきたため,50年11月27日同公社から電報電話料金改定の要請があった。政府部内では,電信電話事業財政の健全化を図るため種々検討を加えた結果,要請の内容を一部手直しのうえ電報電話料金を改定することとし,第七十七回国会に「公衆電気通信法の一部を改正する法律案」を提出したが,同法案は,衆議院において継続審査の案件として取り扱われることとなった。
 なお,49年秋にも電電公社から電報電話料金改定の要請があったが,当時は,政府の物価抑制の基本方針に沿って,50年度中は凍結されることとなっていたものである。
イ.改定の理由
 電電公社は,発足以来数次にわたる5か年計画を実施し,加入電話の増設等を重点に,電信電話サービスの拡充,改善を図ってきたが,この間,技術革新の成果を生かすとともに経営の合理化により,電報電話料金を極力据え置くよう努めてきた。
 しかしながら,近年における人件費の大幅な上昇等により電電公社の経営状況は急速に悪化し,49年度決算においては約1,750億円の欠損金を計上するに至り,一層の経営努力を期待するとしても,50年度以降において更に大幅な欠損の生ずることが予想され,このまま放置すれば極めて憂慮すべき事態に立ち至るものと考えられる。このような状況から,電報電話料金を改定して電信電話事業財政の健全化を図ろうとするものである。
ウ.外国の電報電話料金
 主要国における電報電話料金は,第2-2-30表のとおりである。
 なお,経営主体は,西独,フランスは国,英国は郵便電気通信公社,米国は民間会社であり,料金の決定方法も各国によって異なる。また,料金体系及び料金水準は,各国における電話等の普及状況,社会的,地理的条件,過去の経緯等によって異なっており,料金を比較する場合には,総合的に判断する必要がある。

第2-2-1表 電報取扱機関の推移

第2-2-2図 電報通数の推移

第2-2-3図 加入電信加入数の推移

第2-2-4図 加入電信1加入当たり通信料収入(月額・年平均)の推移

第2-2-5図 一般加入電話加入数と実質国民総生産

第2-2-6図 電話機の普及状況

第2-2-7図 加入電話加入数の推移

第2-2-8図 一般加入電話の積滞の状況

第2-2-9図 加入電話普及率の推移

第2-2-10図 利用種別別加入電話加入数の推移

第2-2-11図 公衆電話機数の推移

第2-2-12図 船舶電話加入数等の推移

第2-2-13図 着信用電話加入数の推移

第2-2-14図 プッシュホンの推移

第2-2-15図 主な附属装置等の数の推移(電電公社設置に係るもの)

第2-2-16図 通話中着信サービス(キャッチホン)の加入数の推移

第2-2-17図 構内交換電話の交換機台数の推移

第2-2-18図 ビジネスホンの推移

第2-2-19図 加入者が設置する親子電話の推移

第2-2-20図 テレホンサービスの推移

第2-2-21表 案内種別別実施状況 51年月現在

第2-2-22図 ダイヤル通話総通話回数

第2-2-23図 1加入1日当たり利用回数

第2-2-24表 1加入当たり電話料金支払額

第2-2-25図 専用回線数の推移(A〜J規格)

第2-2-26図 ポケットベルの推移

第2-2-27図 提供地域別加入状況 51年3月現在

第2-2-28図 業種別加入状況 51年3月現在

第2-2-29表 料金改定の概要

第2-2-30表 主要国の電報電話料金(1)

第2-2-30表 主要国の電報電話料金(2)

第2-2-30表 主要国の電報電話料金(3)
 

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