平成15年版 情報通信白書

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第2章 情報通信の現況

7 情報通信ベンチャー

情報通信ベンチャー創出への期待

 我が国経済が低迷する中、経済成長及び雇用創出の原動力として、独自の技術やビジネスモデルに基礎をおくベンチャーに対する期待が高まっている。特に、革新的な技術やビジネスモデルが急速に進展するとともに、市場が拡大している情報通信分野は、ベンチャーが創出される有望な分野として期待されている。
 我が国の事業所数の推移においては、平成8年から13年にかけて、多くの業種において事業所数が減少又は横這いとなる中で、電気通信、放送、情報サービス業(ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業)の事業所数は、62.7%増加している。このうち電気通信業の事業所数は、ほぼ3倍になっている(図表1))。
 また、情報通信分野における大学等発ベンチャー(注1)の起業数は、平成13年には32社、14年(8月末まで)には24社となっており、同年に起業した大学等発ベンチャー総数の約3割を占めている(図表2))。

 
図表1) 業種別の事業所数の増減率(平成8年と13年の比較)

図表1) 業種別の事業所数の増減率(平成8年と13年の比較)
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図表2) 情報通信関連の大学等発ベンチャーの起業数の推移

図表2) 情報通信関連の大学等発ベンチャーの起業数の推移※
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 さらに、国土交通省の調査によると、情報通信分野の中で、ソフト系IT産業(注2)における事業所の開廃業率は、平成14年度上半期には開業率が15.6%、廃業率が13.8%になっており、同年同期における全産業の事業所の開廃業率と比較すると、ともに倍となっている。ただし、開業率と廃業率との差は、平成12年度以前は開業率が廃業率を大きく上回っていたものの、その差は急速に縮まっている(図表3))。
 また、情報通信ベンチャーの資金調達においては、新興企業向けの証券市場やベンチャーキャピタルが重要な役割を担っている。特に、創業期の情報通信ベンチャーに対しては、ベンチャーキャピタルからのリスクマネー供給の充実が不可欠となっているが、我が国のベンチャーキャピタル投資は他国と比較して低水準にとどまっており、ベンチャーキャピタル投資に占めるIT分野の割合も低くなっている(図表4))。また、ベンチャーキャピタルの新規投資先にIT関連企業(注3)が占める割合は、平成13年10月から14年9月の1年間では42.1%となっており、近年その割合が低下している(図表5))。
 なお、平成14年において、新興企業向け証券市場(注4)に上場したIT関連企業(注5)は28社であり、これらの市場における全新規上場企業数の28.0%(対前年比2.2ポイント減少)となっている(図表6))。

 
図表3) ソフト系IT産業の事業所の開廃業率の推移

図表3) ソフト系IT産業の事業所の開廃業率※の推移
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図表4) 日米韓におけるベンチャーキャピタル投資額のGDP比率、ベンチャーキャピタル投資額に占めるIT部門の比率(1995〜1998年平均

図表4) 日米韓におけるベンチャーキャピタル投資額のGDP比率、ベンチャーキャピタル投資額に占めるIT部門の比率(1995〜1998年平均※)
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図表5) ベンチャーキャピタルの新規投資先の推移

図表5) ベンチャーキャピタルの新規投資先の推移
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図表6) 新興企業向け証券市場におけるIT関連企業の新規上場数の推移

図表6) 新興企業向け証券市場におけるIT関連企業の新規上場数の推移
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(注1)ここでいう大学等発ベンチャーとは、大学及び政府系研究施設が技術移転、人材移転又は出資により、新技術・ビジネスモデルを基に設立した企業を指す
(注2)ソフトウェア、情報処理サービス、インターネット関連
(注3)半導体/他電子製品、コンピュータ関連、インターネット関連、通信
(注4)東証マザーズ、ヘラクレス(旧ナスダック・ジャパン)、ジャスダック
(注5)ソフトウェア、コンテンツ配信、インターネット関連、情報処理、通信、放送

関連ページ:情報通信ベンチャー企業に対する支援の充実については、3-4-3参照

 

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