平成15年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

2 放送の高度化の推進

(1)地上放送のデジタル化の推進

アナログ周波数変更対策等の開始

 地上デジタル放送は、我が国のほぼ全世帯に普及しているテレビを活用して、誰もが簡便に高度な情報通信サービスを利用することを可能とするという点において、家庭のIT基盤となるものである。視聴者にとっては、1)ハイビジョン等の高品質な映像・音声サービス、2)インターネットと連携した電子商取引サービス、3)セリフの速度が調整可能になるなど、高齢者・障害者に優しいサービスの充実、4)携帯や車載の端末向けの鮮明なテレビ放送等、多くのメリットがある。周波数監理の観点からは、アナログ放送と比較して使用周波数が大幅に節減可能となり、近年電波需要の増大している移動体通信等の様々な電波利用分野に対して、周波数を再配分することが可能となる。
 総務省では、地上テレビジョン放送導入に向けて、各種の環境整備を進めている。我が国の厳しい周波数事情において、デジタル放送用の電波を発射できるよう、地上デジタル放送への移行に先立ち、一部の地域において既存のアナログ放送の周波数を変更する必要がある。そこで、このアナログ周波数変更に伴い必要となる対策経費について、国が電波利用料により措置するため、平成13年7月に電波法の一部改正が行われた。
 また、平成13年7月には、NHK、民放、総務省の三者からなる「全国地上デジタル放送推進協議会」が設立され、地上デジタル放送の普及発展を着実に推進していくとともに、アナログ周波数変更の対策手法、対策経費等の概算及び今後の進め方等について検討を進めてきた。その結果、平成14年8月に、対策経費1,800億円程度、対策局所数801局所、対策世帯数約426万世帯程度との見通し等が取りまとめられた。総務省では、検討結果を踏まえ、三大広域圏においては、平成14年8月から送信側の対策を、また平成15年2月から個別世帯等における受信対策をそれぞれ実施している。その他の地域においては、各地域における放送開始時期やアナログ周波数変更対策に関する準備状況等を勘案して、三大広域圏とは時期をずらして、順次対策を開始する予定である(図表1))。

 
図表1) アナログ周波数変更対策のイメージ図

図表1) アナログ周波数変更対策のイメージ図

 平成14年9月には、地上デジタルテレビジョン放送を行う放送局の免許方針を制定し、これに従い、同年12月には、日本放送協会並びに関東、中京及び近畿広域圏内の民間放送事業者16社から地上デジタルテレビジョン放送局の免許申請が行われ、平成15年4月に予備免許が付与された。放送事業者は、同年12月に地上デジタル放送のサービスを開始する予定である。
 地上デジタル放送を行うための施設整備を促進するため、「高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法」に基づく実施計画の認定を受けた放送事業者(平成14年度末までに61社認定)に対し、税制及び金融上の支援措置を設けている。さらに、平成15年度税制改正により対象設備の拡充を図るなど、事業者の投資負担の一層の軽減を図ることとしている。また、放送番組制作事業者に対しても、国税(法人税又は所得税の特別償却)及び財政投融資に係る支援措置が適用されている(図表2))。

 
図表2) 地上デジタル放送施設の整備に対する支援スキーム

図表2) 地上デジタル放送施設の整備に対する支援スキーム

 さらに、地上デジタル放送への円滑な推進を図るため、平成14年7月に総務大臣の懇談会において、広範な関係者が取り組む「デジタル放送推進のための行動計画」を策定し、関係者の具体的役割・目標を定めた。また、平成15年1月には、その行動計画を改定し、取りまとめた「地上デジタル放送の周知・広報アクションプラン」に基づき、今後も放送事業者、メーカ、地方公共団体等とも協力し、デジタル放送のメリット等について、国民・視聴者への周知・広報を強化し、地上放送のデジタル化へ向けて積極的に取り組んでいくこととしている(3-2-2(1)参照)。
 また、地上デジタル音声放送については、平成13年9月、社団法人デジタルラジオ推進協会に実用化試験局2局の予備免許を付与しており、平成15年10月、東京地区及び大阪地区のそれぞれで実用化試験放送が開始される予定となっている。

関連ページ:放送のデジタル化については、1-1-1(6)参照

 

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