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第1部 特集 「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか
第2節 ICT産業の「革新」とグローバル展開

(2)モバイル端末市場の動向

前節第1項(2)で述べたように、スマートフォン・タブレット端末への急速な移行が進んでおり、民間調査機関の予測では、フィーチャーフォンからスマートフォン、パソコンからタブレット端末への移行が急速に進むことが予測されている(図表1-1-1-7、(図表1-1-1-8参照)。このような端末環境の変化が、モバイル端末市場にどのような変化をもたらしているか、世界及び日本におけるスマートフォン、タブレット端末の市場動向を紹介する。

ア スマートフォン市場の動向

世界のスマートフォン2の販売台数は、2012年に6.8億台となり2011年から1.44倍に増えている。メーカー別では韓国Samsungが30.3%とシェアを大きく伸ばしほぼ横ばいだったAppleを抜き世界販売台数で首位となった。この2社で世界のスマートフォン販売のほぼ半分を占める一方、3位以下のメーカーは日本企業をはじめNokiaやRIMも軒並みシェアを落としている。OS別では2012年においては、Samsungのシェア拡大が牽引する形でAndroidが全体の約3分の2を占めるまでに至り、AndroidとiOSで全体の8割を超え、市場の寡占度を表すHHI3も大きく上昇している。このことからもOSレベルでは2つのOSによる寡占化が進んでいることがわかる(図表1-2-1-3)。

図表1-2-1-3 世界のスマートフォン販売台数シェアの変化
(出典)Gartner資料より総務省作成

日本のスマートフォンの販売台数は、2012年に3,218万台となり2011年から1.29倍に増え、メーカー別ではAppleがシェアを27.9%に伸ばし年間販売シェアで首位になった。加えてSamsungもシェアを6.3%から7.7%にシェアを伸ばす一方で、日本メーカーは総じてシェアを落としている。OS別では世界と同じ傾向にあり、2012年にAndroidが過半数を占めるまでに至り、iOSと合わせると全体の8割を超えHHIも上昇している(図表1-2-1-4)。

図表1-2-1-4 日本のスマートフォン販売台数シェアの変化
(出典)Gartner資料より総務省作成

これらの傾向は冒頭の決算にも如実に表れており、Apple、Samsung、そしてAndroidのGoogleの台頭により、世界および日本の市場構造が変わりつつある状況にあることがうかがえる。

イ タブレット端末関連市場の動向

世界のタブレット端末市場においては2013年第1四半期は世界で49.2百万台が出荷され、昨年同期比で2.4倍に拡大した。メーカー別では2012年第1四半期では過半数を超えていたAppleだったが、2013年第1四半期は39.6%に大きくシェアを落とした反面、Samsung、Asusのシェアが大きく伸びAndroidOSタブレットが過半数を超えた。OS別シェアではAndroidとiOSのシェアが1年でそっくり入れ替わった格好になっているように、タブレット端末ではスマートフォン以上に市場シェアの変化が起きている状況にある(図表1-2-1-5)。

図表1-2-1-5 世界におけるタブレット端末出荷台数シェア
(出典)Worldwide Tablet Market Surges Ahead on Strong First Quarter Sales, Says IDC, 01 May 20134

また、平成24年通信利用動向調査を見ても国内のタブレット世帯保有率は平成23年の8.5%から平成24年は15.3%にほぼ倍増しており、個人のタブレット端末からのインターネット利用についても4.2%から7.9%に伸びるなど、徐々にタブレット端末市場が立ち上がってきている状況にある。

これらのタブレット市場の立ち上がり・拡大の背景としては、7インチ前後の小型タブレット端末をはじめとした低価格タブレット端末の登場が要因として考えられる。2012年以降に発売された端末を見てみると、端末メーカー主導のiPad mini(Apple)、プラットフォーム主導のNexus7(Google)やKindle Fire HD(Amazon)、キャリア主導のdtab(NTTドコモ)など各社がタブレット市場へ参入してきており、いずれも2〜3万円前後の価格設定がされるなど低価格化が進んでいる。今後においてもこれらタブレット端末市場の立ち上がりや普及を背景に更に価格競争が進むものと予想される。



2 本項の携帯端末市場に関するデータはガートナー社調査を用いており、スマートフォンは、①仕様の全部若しくは仕様の一部を公開しているOSを採用している端末であること、②ソフトウェア開発者に対して、APIを利用可能なソフトウェア開発環境(SDK)が提供されているOSを採用している端末であること、③移動通信網に対応する端末であり、タブレット端末を除く、の3点を満たすものをスマートフォンとする同社の定義に基づいている。なお、②については、Symbian、Linux、Android、Windows Phone、RIM(BlackBerry OS)、iOSなどが該当する。ガートナー社ではSymbian OSやLinux OSが採用されているNTTドコモのFOMA端末(2004年(平成16年)以降)についても、NTTドコモが認めた第三者に対してAPIが利用可能なソフトウェア開発環境が提供されており、この条件に合致しているため、スマートフォンに含めている(一部例外あり)。

3 ハーフィンダール・ハーシュマン指数:市場の寡占度を測る指標。業界各社のシェア率を各々2乗した総和で求められ、数値が大きいほど寡占市場である。通常は売上高シェアで算出するが、ここではデータ上の制約により台数シェアにて算出している。

4 WindowsOSにはWindowsRT含む

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