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第2部 情報通信の現況・政策の動向
第11節 海外の動向

(3)中国の情報通信政策の動向

ア 基礎通信サービス分野への民間資本による参入を緩和へ

工業・情報化部は2012年6月、「民間資本の通信市場への参入を奨励・誘導する実施意見」を発表し、八つの重点領域への民間資本参入に関する実施意見を取りまとめた。

これら八つの重点領域のうち、特に注目度が高いのは、移動通信の再販業務(MVNO)への参入緩和で、2013年5月に工業・情報化部は「移動通信再販売業務(MVNO)試行の展開に関する通告」を発表し、試行申請の受理を開始した。

MVNOの導入はまず期間限定のテストケースとされ、申請の受理期間は2014年7月1日まで、試行は2015年末までとされている。また申請資格も外資等の企業は除かれている。さらに基礎通信サービスを提供する3事業者(中国移動、中国電信、中国聯通)がそれぞれ少なくとも2社との契約を義務付けられているため、最低でも6社の参入が見込まれる。

イ ネット利用者の身分管理を強化

「ネットワーク情報セキュリティ保護強化に関する決定」が2012年12月に全人代常務委員会で可決され、ネット利用者の身分管理が一層強化されることになった。

これまで国務院はインターネット管理に関する行政規定を9件、中央省庁はインターネット管理に関する通達を10件以上策定しており、今回の可決を受け、国務院法制弁公室は今後、関係部門と協力してこれらの規定の統合を推進するとしている。

また、国務院は当該決定にあわせて、2000年に策定した「インターネット情報サービス管理弁法」の改正を進めており、決定の内容を具体化するとしている。具体的には、北京市・上海市・天津市・広州市・深セン市の5都市での試行経験に基づき、ネット上の身分管理制度を具体化することが想定されている。

さらに、工業・情報化部は今後ネットワーク情報セキュリティの保護について、①ユーザーの電子情報保護やスパム情報の処理、携帯電話ユーザーの身分管理等に関する命令の策定、②ユーザーの電子情報保護等に関する技術標準等の規定の具体化、③監督の強化及び通信事業者とインターネット企業の該当決定への指導、④研究開発の奨励によるユーザーの電子情報セキュリティ水準の向上、⑤情報セキュリティやスパム情報の配信等の違法行為に関する苦情受理制度の改善及び苦情提出の奨励といったことを推進するとしている。

政府は、一連の取組で国家安全・公共利益・民衆権益の確保やネットワーク情報セキュリティの保護、ネット秩序の維持を推進しようとしている。

ウ 国務院、「国家戦略的新興産業発展の第12次5か年計画(2011-2015)」を発表。クラウド・コンピューティングを重要プロジェクトに指定

国務院は2012年7月に、「国家戦略的新興産業発展の第12次5か年計画(2011-2015)」を発表した。この中において、情報通信分野関連では五つの重要プロジェクトが指定されており、そのうちの一つはクラウド・コンピューティングである。

具体的な取組として、既存の各種のコンピューティング資源を統合し、各領域の情報共有、業務協同を推進するとともに、環境にやさしいクラウドセンター、公共サービスプラットフォームの構築を支援し、SaaS、PaaS、IaaSといったビジネスモデルを推進する。2015年までには国情に合った利用モデル、標準、信頼性の高い産業体系を形成させるとしている。

さらに、支援措置として、財政、税、金融の支援策のほか、重点領域と重要プロセスの改革を加速させるなどの内容が盛り込まれている。

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