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第1部 特集 「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか
第2節 ICTによる社会インフラの高度化

(3)ICT街づくりの推進に向けた取組

ア ICT街づくり推進会議の開催

総務省では、東日本大震災の経験を踏まえた災害に強い街の実現、地域コミュニティの再生・地域活性化等、地域が抱える様々な課題を解決するため、2011年(平成23年)12月から2012年(平成24年)6月まで「ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会」を開催した。同懇談会の報告書では、2015年(平成27年)までに全国に「ICTスマートタウン」モデルを構築し、2020年(平成32年)頃に向けて、その国内外への普及展開を図ることとされた。

それを受けて、2013年(平成25年)1月より開催中の「ICT街づくり推進会議」では、2020年(平成32年)頃の「ICTスマートタウン」の普及展開に向けて、主要拠点において「ICTスマートタウン」プロジェクトの展開・加速化を行うこと、モノ、時間、場所等、あらゆるものをIDで管理する、広域連携や官民連携のための共通プラットフォームを2015年に実現すること、実証プロジェクトで得られた成果を普及展開するための体制整備やグローバル展開方策の検討等を行っている(図表2-2-1-20)。

図表2-2-1-20 ICTを活用した街づくりの普及展開(「ICTスマートタウン」プロジェクトの加速化)
(出典)総務省「ICT成長戦略会議」(第4回)資料
イ 地域実証プロジェクトの実施

「ICTスマートタウン」の実現にあたっては、持続可能な街に関する明確な経営戦略の下、民・産・学・公・官による連携・協働により、災害に強いワイヤレスネットワーク、クラウドサービスや共通ID等と連携しつつ、センサー等によるリアルタイムデータや地方自治体等の行政保有データ等の多種多様なデータが、平時では街の自立的な発展を支え、災害時では防災・減災のために活用されることを可能とするICTシステムが必要である。

以上のようなシステムが社会に実装されるためには、国内外を含めた街と街の間における連携を可能としつつ、ビッグデータ等の新たなICTの活用に伴う課題の抽出とその解決、その効果の見える化による関係者間の連携促進や個人に関するデータの取扱いに対する不安感の払拭等を図っていく必要がある。

以上の目的から、総務省では平成24年度「ICT街づくり推進事業」として、提案の公募を行い、以下の5件の事業を採択し、「ICTスマートタウン」の実環境での有効性の検証を行っているところである(図表2-2-1-21)。そのうち、いくつかの事例を紹介する。

図表2-2-1-21 ICT街づくり推進事業(平成24年度)
(ア)柏の葉スマートシティにおけるエネルギー・健康・防災の共通統合プラットフォームの構築(千葉県柏市)4

首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)柏の葉キャンパス駅周辺は、これまでも「柏の葉スマートシティ」として公民学の協働体制で先進的な取組が行われている地域であるが、今回の実証事業では、エネルギー・健康・行政情報等のデータ基盤の連携を行う共通統合プラットフォームを構築する。その際、ucodeを共通IDとして活用することより、シングルサインオンでのアクセスを実現するほか、蓄積したビッグデータの利活用により、行政及び民間において、創造的な新サービスの創出を目指すとしている(図表2-2-1-22)。

図表2-2-1-22 柏の葉スマートシティにおけるエネルギー・健康・防災の共通統合プラットフォームの構築(千葉県柏市)のイメージ図
(出典)総務省「ICT街づくり推進会議」(第1回)資料より作成
(イ)三鷹市コミュニティ創生プロジェクト(東京都三鷹市)5

電子自治体の取組で先進的な三鷹市において、駅前にあるWiFiネットワーク、買物支援や見守りのためのIP告知、要援護者の支援及び情報伝達の制御という4つの仕組を複合的に組み合わせ、相互の機能を連携して地域内で回るように運営していくことにより、平時及び緊急時・災害時の住民間の共助と地域内のにぎわいを生み出すようなコミュニティの創生を目指す取組である(図表2-2-1-23)。

図表2-2-1-23 三鷹市コミュニティ創生プロジェクト(東京都三鷹市)のイメージ図
(出典)総務省「ICT街づくり推進会議」(第1回)資料より作成
(ウ)災害時支援物資供給機能を兼ね備えた6次産業化コマース基盤構築事業(静岡県袋井市6

農作物のトレーサビリティシステムと、それと連携して販売及び輸送を行うeコマースシステムで構成される共通情報基盤を生産農家・市民農園等に構築し、地区特産品の販路拡大・効率的な輸送を実現し、その機能・性能や市民の受容性を検証する。市民農園での農家との交流サイトの構築、小学校でICTを用いた先端農業に関する授業を行うことにより市民参加型の農を活かしたまちづくりを行い、また市民健康サービスを提供することにより地域交流を促進する。この共通情報基盤を自治体が保有する地理情報システムと連携するように整備することで、災害時には支援物資を収集し、自治体が保有する被災情報や道路状況と連携させて需要のある避難所等に効率的に配布できることを実証する(図表2-2-1-24)。

図表2-2-1-24 災害時支援物資供給機能を兼ね備えた6次産業化コマース基盤構築事業(静岡県袋井市)のイメージ図
(出典)総務省「ICT街づくり推進会議」(第1回)資料より作成


4 http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2012/1127/別ウィンドウで開きます

5 http://www.mitaka.ne.jp/ict-town/project/別ウィンドウで開きます

6 http://www.city.fukuroi.shizuoka.jp/ctg/Files/1/02210024/attach/130101_04.pdfPDF

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