総務省トップ > 政策 > 白書 > 25年版 > 諸外国におけるICT街づくりの事例
第1部 特集 「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか
第2節 ICTによる社会インフラの高度化

(2)諸外国におけるICT街づくりの事例

諸外国においても、スマートシティ、スマートコミュニティ等の名称で、ICTを活用した街づくりに関連した取組が行われている。以下に事例を紹介するが、いずれの事例においてもデータの収集・利活用に重点を置くとともに、複数の業務・分野間で連携して収集したデータ利活用できる共通プラットフォームの構築を進めている点が特徴である。

ア City SDK(Service Development Kit)2

City SDKは、欧州のICT PSP(Policy Support Programme)の一環として、2012年1月から2014年6月までの間、総額684万ユーロ(うち、EU負担分は340万ユーロ)のプロジェクトとして実施されている(図表2-2-1-18)。

図表2-2-1-18 City SDKの概要
(出典)総務省「ICT街づくり推進会議報告書」より作成

このプロジェクトは、近年のオープンデータ化の流れも踏まえ、都市活動において利用される様々な情報をデジタル化して、人々が利用しやすいように公開/提供することを支援したり、アプリケーション開発者がこのようなデジタル情報を利活用するためのツール(アプリケーションを開発するための環境等)を提供することを目指している。

プロジェクトでは、現在Smart Participation、Smart Mobility、Smart Tourismの3つの領域に焦点をあてて開発が進められている。Smart Participationは市民と行政に様々な問題(例えば、公共物の破損)を報告/共有するための通報システムの構築を、Smart MobilityおよびSmart Tourismは地域住民や旅行者等に対してロケーション情報を基にしたモバイルサービス(最適な移動手段に関する情報、近隣の店舗/娯楽施設等に関する情報の提供等)を提供するためのプラットフォームの構築を目指して実証が進められている。

現在、アムステルダム(オランダ)、バルセロナ(スペイン)、ヘルシンキ(フィンランド)、イスタンブール(トルコ)、ラミア(ギリシャ)、リスボン(ポルトガル)、マンチェスター(英国)及びローマ(イタリア)の8都市のスマートシティプロジェクトと連携しつつ、実証が進められている。

イ Smart Santander3

Smart Santanderは、欧州委員会の第7次研究・技術開発のための枠組計画(FP7)のうち、ICTの研究・技術開発の一環として、Future Internet Research(FIRE)の資金援助により実施されているプロジェクトである。研究期間は2010年9月より36ヶ月間であり、予算規模は867万ユーロ(うち、EU負担分は600万ユーロ)である。

主にスペインのサンタンデール市において実施されている実証プロジェクトであり、電力、水、ガス、廃棄物処理、建物/家庭、道路、鉄道、自動車等の施設や設備にセンサーを設置し、携帯電話網、ワイヤレスメッシュ、ブロードバンド等の通信インフラを介してデータの収集を行なっている(図表2-2-1-19)。

図表2-2-1-19 Smart Santanderの概要
(出典)総務省「ICT街づくり推進会議報告書」より作成

これら収集したデータは、データベースで管理されるとともに、テストベッドとして研究者、一般市民、サービスプロバイダー等に対して提供されている。これらの利用者は、適切な認証を経た後、データベースにアクセスし、各種研究や実証、テストアプリケーションの開発、プロトコルの検証等を行うことができる。

ベオグラード(セルビア)、ギルドフォード(英国)、リューベック(ドイツ)とも連携しながら、2014年までに約20,000(うち、サンタンデール市に設置されるものは約12,000)のセンサー等が展開される予定である。



2 http://www.citysdk.eu/別ウィンドウで開きます

3 http://www.smartsantander.eu/別ウィンドウで開きます

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