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第1部 特集 「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか
第2節 ICT産業の「革新」とグローバル展開

(3)スマートテレビ5の動向

スマートテレビについては、放送系、メーカー系、ネット企業系に通信事業者も加わり、様々な主体が取組を進めている。

通信事業者においてはブロードバンドサービスの魅力向上やスマートフォン・タブレット端末との連携の観点から、スマートテレビをめぐる動きが本格化してきている。NTTでは平成24年3月にNTT西日本が「光Box+」、同6月NTT東日本が「光Box2」の提供を開始しており、KDDIでも同社が開発した「Smart TV Box」を、提携ケーブルテレビ各社6にて平成24年11月より順次提供を開始している。各社ともSTBとして自社および提携先のブロードバンド回線顧客に対し提供することで、動画視聴やネットブラウジング、アプリ利用を可能としており、「Smart TV Box」ではスマートフォン・タブレット端末との連携機能を盛り込むなどマルチスクリーン化も意識している。また、KDDIでは平成25年4月にジュピターテレコム(J:COM)を連結子会社化し、同年秋にはKDDI子会社のJCNと統合することを発表しており放送と通信の融合への取組を進めている(図表1-2-1-6)。

図表1-2-1-6 主要通信事業者によるスマートTVサービスのエコシステム
(出典)総務省「ICT産業のグローバル戦略等に関する調査研究」(平成25年)

さらに、平成25年2〜3月にテレビのHDMI端子に差し込むスティック型の端末により映像サービス等を提供するサービスをNTT、KDDI、ソフトバンクが相次いで開始している(図表1-2-1-7)。このように各通信事業者ともに映像コンテンツやアプリ等の上位レイヤーへ展開を進めている状況にある。

図表1-2-1-7 主要通信事業者によるスティック型スマートTVサービス
(出典)各社公表資料より作成

メーカーにおいても、SonyやPanasonic等の日本メーカーは自社のタブレット端末やスマートフォンと連携を図りスマートフォンから番組の予約や視聴を可能にするなど、マルチスクリーンを軸に映像コンテンツへの展開を行うことによる端末の魅力向上を図っており、海外メーカーでもSamsung、LG電子などのメーカーが自社製造のテレビをスマートTV化し参入している(図表1-2-1-8)。

図表1-2-1-8 各社のスマートテレビにおける取組
(出典)総務省「ICT産業のグローバル戦略等に関する調査研究」(平成25年)

ネット系企業においても、スマートフォン・タブレット端末との連携を狙った取組が進んでいる。AppleのSTB型端末「AppleTV」ではiPhoneやiPadの映像や写真をテレビで表示させる機能を有しており、Googleでは「Google TV」と呼ばれる映像配信プラットフォームを提携メーカー(Samsung/Sony/LG電子等)に提供し、GooglePlayで購入したコンテンツをAndroidスマートフォンで視聴可能とする仕組の展開を図っている。

上記のように、様々な関係事業者による取組等が行われているが、これらに加えて新たに「放送・通信連携サービス」への期待が高まっているところである。一般社団法人IPTVフォーラムにおいて、次世代のテレビにおいて放送と通信が連携する新たなサービスが可能となる技術仕様(ハイブリッドキャスト(Hybridcast)技術仕様ver.1.0)が一般に向け公開されている(平成25年3月29日)。この技術仕様に対応することにより、テレビ、スマートフォン、タブレットなどの様々な端末でテレビ放送とウェブが連携した多様なアプリケーションが利用できるようになり、放送・通信連携を活用する新たなコンテンツが広まるなど、新しいサービスの実現が期待されている。NHKではハイブリッドキャスト技術を用いたサービスとして、例えば、クイズ番組の進行に合わせてクイズがテレビ画面で表示され視聴者がタブレットやスマートフォン経由で回答するなどのアプリケーション、旅番組と連動して詳細なスポット情報や地図情報をテレビ画面やタブレット・スマートフォン上に表示するなどのアプリケーションが検討されている。

このハイブリッドキャスト技術仕様については、現在スマートテレビの中核的技術となるHTML5等の標準化に関する議論が行われている国際標準化機関(ITU,W3C)に提案しているところである。

総務省「放送サービスの高度化に関する検討会」7ではこれらの動きも踏まえ、「放送・通信連携サービス」に対応して、これまでのスマートテレビにない、新たなテレビの使い方を可能とするスマートテレビを「次世代のスマートテレビ」と捉え、その推進目標を定めている。

また、次世代スマートテレビ上で動作する、放送番組関連情報を活用した新たなテレビ視聴を可能とする放送連動型のアプリケーションの普及促進を行うために、視聴者の安全・安心の確保と、オープンなアプリケーション開発環境の実現に関する体制として、IPTVフォーラム内に「次世代スマートテレビ推進センター」を平成25年7月に設置することが公表されたところである。

これらの取組により、次世代スマートテレビの普及促進が図られることで、新たなビジネスチャンス等の拡大、市場の活性化につながることが期待されている。(第5章第3節2項(1)イ「放送サービスの高度化」参照)

なお、平成24年通信利用動向調査において、国内におけるスマートテレビの利用意向を調査したところ、世帯主の年齢が20〜40代の世帯で5割以上、50代でも約4割の利用意向があり、幅広い世代でスマートテレビに対する期待感の高まりがうかがえる結果となっている(図表1-2-1-9)。

図表1-2-1-9 スマートテレビの利用意向8
(出典)総務省「平成24年通信利用動向調査」
「図表1-2-1-9 スマートテレビの利用意向」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら


5 本項での「スマートテレビ」は、平成24年版情報通信白書第2章第3節2(1)「スマートテレビの加速」において用いた「インターネット接続を通じてウェブ・ソーシャルメディアの利用、アプリの利用、デバイス間連携などの機能拡張を実現するテレビ端末ないしセット・トップ・ボックス」との定義を踏襲している。

6 J:COM、JCN、大分ケーブルテレコム

7 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/bcservice別ウィンドウで開きます

8 「インターネットへの接続機能を持ち、放送中の番組に連動して、ウェブから関連情報を取得して表示したり、多様なアプリが利用可能となったり、メーカーを問わずにスマートフォンやタブレット端末と連携できる「スマートテレビ」が利用可能となった場合、利用してみたいと思いますか。」という設問に対し「はい」と答えた比率(無回答を除く)。

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