第1部 特集 ICTの利活用による持続的な成長の実現
第1章 ICTによる地域の活性化と絆の再生

(2)チャレンジドの社会参加状況


ア 障がい者の雇用状況

●民間企業の全体の実雇用率は1.63%、小規模事業者の雇用率が低い

 「障害者雇用の促進等に関する法律」(昭和35年7月25日 法律第123号)は、障がい者の雇用の安定のため、事業主に常時雇用する身体障がい者又は知的障がい者の数を、常時雇用する労働者の数に「障害者雇用率」を乗じて得た数以上に義務づける「障害者雇用率制度」を定めている。「障害者雇用率」は、平成10年7月1日から一般民間企業(56人以上規模)については1.8%と定められており6、平成21年6月1日現在の民間企業の全体の実雇用率は1.63%と対前年比で0.04ポイント上昇している(図表1-3-2-3 上図)。ただし、企業規模別でみると中小企業の実雇用率は引き続き低い水準であり、特に「100〜299人」規模の企業においては、実雇用率1.35%と最も低い水準となっている(図表1-3-2-3 下図)。

図表1-3-2-3 障がい者の雇用状況
図表1-3-2-3 障がい者の雇用状況
平成21年6月1日現在の民間企業の全体の実雇用率は1.63%、小規模事業者の雇用率が低い
(出典)厚生労働省「平成21年6月1日現在の障害者の雇用状況について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000002i9x.html

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イ 障がい者の就労実態

●不就労者のうち、身体障がい者は58.7%、知的障がい者は40.9%、精神障がい者は62.3%が就業希望有り

 厚生労働省の調査7によると、15歳以上64歳以下の障がい者のうち、2006年に就業中の障がい者は82万6,000人である。内訳は、身体障がい者が57万8,000人(65.6%)、知的障がい者が18万7,000人(17.3%)、精神障がい者は6万1,000人(17.1%)となっている。それぞれの不就業者の就業希望の有無をみると、身体障がい者は58.7%、知的障がい者は40.9%、精神障がい者は62.3%が就業希望を有している(図表1-3-2-4)。

図表1-3-2-4 障がい者の就業希望
図表1-3-2-4 障がい者の就業希望
不就労者のうち、身体障がい者は58.7%、知的障がい者は40.9%、精神障がい者は62.3%が就業希望有り
厚生労働省「身体障害者、知的障害者及び精神障害者就業実態調査の調査結果について」(平成20年1月18日)により作成
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/01/dl/h0118-2a.pdf

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ウ 身体障がい者の情報生活実態について

 厚生労働省の調査によると、身体障がい者の情報入手方法は「テレビ」が80.2%と最も高く、次いで「一般図書・新聞・雑誌」が61.1%、「家族・友人」が51.3%となっている。「ホームページ・電子メール」、「携帯電話」は全体で1割弱であり、ICTツールは障がい者の情報入手方法としてはいまだ低い状況である(図表1-3-2-5)。

図表1-3-2-5 情報の入手方法
図表1-3-2-5 情報の入手方法
情報入手方法として「ホームページ・電子メール」、「携帯電話」は全体で1割弱
厚生労働省「平成18年身体障害児・者実態調査」により作成
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/shintai/06/index.html

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 また、パソコンを「毎日利用する」又は「たまに利用する」者は全体の16.3%となっており、現在、パソコンを「ほとんど利用しない」又は「全く利用しない」と応えた者のうち、パソコンの利用を希望している者は14.7%であった(図表1-3-2-6)。ICTによるコミュニケーションの権利は等しく国民に享受されるべきものであり、ICT製品・サービス等における障がい者の情報バリアフリー化の推進等が一層重要な課題となろう8

図表1-3-2-6 パソコンの利用の状況及び未利用者におけるパソコン利用希望の状況
図表1-3-2-6 パソコンの利用の状況及び未利用者におけるパソコン利用希望の状況
パソコンを利用する者は全体の16.3%、未利用者でパソコンの利用を希望している者は14.7%
厚生労働省「平成18年身体障害児・者実態調査」により作成
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/shintai/06/index.html

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6  国及び地方公共団体では2.1%となっている
7 厚生労働省「身体障害者、知的障害者及び精神障害者就業実態調査の調査結果について」(平成20年1月18日)
8 情報バリアフリー化の推進については、第5章第5節3を参照
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