第2部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

7 医療のICT利活用の推進


 我が国の医療現場においては、医療従事者の業務負担の増大により医療過誤も多く報告されているほか、高齢化社会の進展に伴い国民医療費の急速な伸びが予想されており、その抑制のためにも生活習慣病対策等の必要性が高まっている。
 これらの課題の解決に資するため、総務省では、平成21年度から医療の安全性向上や業務の効率化等に向けた電子タグやセンサーネット等のユビキタスネット技術の高度利用による活用方策についての技術的実証を厚生労働省と連携して行っている。また、平成20年度から22年度の3か年計画で、厚生労働省及び経済産業省と連携の上、個人の健康情報の有効活用により、医療機関間の継続性ある医療の提供や日常的な健康増進対策に資する健康情報活用基盤の構築に向けた実証事業を行っている(図表5-5-7-1)。

図表5-5-7-1 健康情報活用基盤実証事業の概要
図表5-5-7-1 健康情報活用基盤実証事業の概要

 また、地域医療の充実に資する遠隔医療技術の活用方法及び推進方策について検討するため、総務大臣及び厚生労働大臣の共同懇談会である「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」を平成20年3月から開催し、同年7月に公表された「中間とりまとめ」を踏まえて、遠隔医療モデルプロジェクトを平成20年度及び21年度に実施し、エビデンス(安全性・有効性等について科学的根拠に基づくデータ)の収集に取り組んでいるところである。
 さらに、グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース地球的課題検討部会「遠隔医療等推進ワーキンググループ」における議論を踏まえ、平成22年度予算「地域ICT利活用広域連携事業」などを活用して、更なるエビデンスの収集・蓄積に努め、対面診療の補完とされている遠隔医療の位置づけの見直し、遠隔医療の実施可能な範囲の拡大や、遠隔医療に対する診療報酬の活用などを検討し、遠隔医療の全国普及拡大を図っていくこととしている。
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