第1部 特集 ICTの利活用による持続的な成長の実現
第3章 ICTによる経済成長と競争力の強化

4 日本の強みを生かしたグローバル展開


●災害対策、環境・省エネルギー対策など「課題先進国」日本の経験を生かしたICTシステムのグローバル展開で他国の課題解決にも貢献

 現地市場の嗜好を把握し、製品・サービス開発に反映するということに加え、日本が強みを有する分野、サービスにおいてグローバル展開していく視点も重要であろう。
 ICT分野そのものについては、例えば、「地上デジタル放送」「ワイヤレス」「次世代IPネットワーク」といった3分野が、日本が強みを発揮しうる分野と言われてきており25、そのうち、地上デジタル放送は、標準化された規格の海外展開において成果を上げつつある26。しかし、こうした技術力や規格の海外展開を関連製品、サービスの販売に結び付けるため、関連企業が結集し、その総合力を発揮した展開をすることが重要である。
 これに加え、我が国は、経済発展と環境保全・省エネルギーとの調和、地震をはじめとする自然災害発生を前提としたシステムづくり、少子高齢化など様々な社会的課題について、「課題先進国」として課題解決や克服に対処してきた経験・ノウハウを有する。こうした課題は他国も共有するものであるが、それに対処するための社会インフラにICTを組み込んだシステムについて日本発のプロジェクトを組成し、これをグローバル展開することにより、アジアをはじめとする各国の課題解決に貢献することが可能と考えられる。
 そこで以下では、日本の強みを生かしたグローバル展開について、どのような分野でどのように展開することが考えられるかを検討の上、「課題先進国」としての経験を有すること等を強みに既にグローバル展開を実現している事例、今後グローバル展開が期待される事例を中心に紹介する。


25 ICT国際競争力強化プログラム(平成19年5月)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2007/pdf/070522_3_1.pdf)において、重点3分野とされている
26 第5章第1節4(3)において詳述するが、地上デジタル放送については、ブラジルに続き、2009年秋以降、ペルーを始めとした諸外国で、日本方式の採用が相次いでいる
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