第2部 情報通信の現況と政策動向
第4章 情報通信の現況

(4)韓国の情報通信政策の動向


●未来戦略や海外進出戦略の発表が相次ぐ

ア 「ITコリア未来戦略」の発表
 2009年9月、未来企画委員会、放送通信委員会(KCC)及び知識経済部より「ITコリア未来戦略」が発表された。同戦略では、韓国の未来の成長動力であるIT産業に対する総合的な未来ビジョン及び実践戦略が示されており、[1]IT融合産業、[2]ソフトウェア、[3]主力IT機器、[4]放送・通信、[5]インターネットを5大核心戦略として推進し、2009年から2013年までの5年間で189.3兆ウォン(政府:14.1兆ウォン、民間:175.2兆ウォン)(約13兆円)を投資するとしている。これにより、2013年の韓国経済の潜在成長率が0.5%上昇するとしている。

イ 「放送通信未来サービス戦略」の発表
 放送通信委員会(KCC)は、2010年5月、放送通信市場に活力を呼び込み、未来の成長の原動力を創出するために、「放送通信未来サービス戦略」を発表した。韓国ICTの未来を担うサービスのロードマップという点、情報通信部時代の「IT839戦略」に続く新しい研究開発(R&D)戦略という点で注目されている。
 具体的には、[1]4G放送(3DTV/UHDTV):目の前に繰り広げられる実感放送、[2]Touch DMB(WiBro+DMB):より一層鮮明で双方向のDMB、[3]McS(Mobile Convergence Service):最も速くて便利な無線インターネット、[4]事物知能通信:人と世界を連結する通信サービス、[5]未来インターネット:安全で賢い未来型インターネット、[6]K-Star(放送通信衛星):いつも私を守る放送通信、[7]“SMART" Screenサービス:途切れることなく利用できる融合メディアサービス、[8]Next-Waveサービス(未来電波応用):電波がもたらす便利な生活、[9]認知型統合保安サービス:クリック一度で心配を減らしてくれる安全サービス、[10]統合グリーンICTサービス:通信技術を活用した生活エネルギー管理の10大未来サービスを掲げ、これを実現するためのR&D戦略として、2011年から2015年までの5年間で総額2兆1,392億ウォン(約1,500億円)の投資を行う予定であり、これにより、2014年までに9兆ウォン(約6,300億円)の市場創出を通じて3.8万人の雇用を誘発し、関連機器やコンテンツ市場の成長も促進していくとされている。

ウ 「海外進出支援戦略」の発表
 2010年1月、放送通信委員会(KCC)は、「2010年度放送通信海外進出支援戦略」の要約を公表した(本文非公表)。2009年3月に、同委員会は、選択と集中による放送通信輸出支援を推進するため、韓国が世界的に強みを持つと思われる[1]WiBro、[2]DMB、[3]IPTV、[4]放送コンテンツを4大輸出戦略品目に選定し、22の拠点国家に対して戦略的に支援することを決定していたが、今回の戦略は、世界的な市場と需要の変化を反映し、新たに[5]ブロードバンドを輸出戦略品目に追加し、5大輸出戦略品目とするとともに、拠点国家も25か国に拡大されている。

エ メディア関連法の改正
 2009年7月、放送法等のメディア法の改正が、与野党間の激しい論戦を経て国会を通過した。これにより、従来は禁止されていた新聞社及び大企業による放送事業への参入が認められ、外資規制も緩和される等、放送事業への参入規制が大きく緩和された。
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