第1部 特集 ICTの利活用による持続的な成長の実現
第2章 グリーンICTによる環境負荷軽減と地域活性化

(1)衛星を用いた小麦の刈入れ時期最適化の取組(JA士幌町)


●衛星画像解析に基づいた農作業最適化により、CO2排出削減、作業負荷削減、地域の連帯感醸成を同時に実現

 JA士幌(しほろ)町では、施設(大型コンバイン、乾燥設備)を共用していることから、従来は実際に畑に足を運んで小麦の生育(乾燥)状況を確認した上で、生育状況に応じて刈取りの優先順位を決める必要があった。
 そこで、衛星画像を利用して小麦の生育状況を解析し、解析結果を圃場毎に色分けして表示(図表2-2-1-1)するシステムを導入し、さらに解析情報を基に、刈取り時期と刈取る圃場(ほじょう)の順番を最適化することにより、刈取り後の乾燥に必要なエネルギーの削減や刈取り作業効率の向上を実現している。同時に、年間で約10,090kgのCO2排出量削減(図表2-2-2-2)や、刈取りの優先順位付けに伴う住民間の不公平感が軽減され、地域の連帯感が醸成されたといった効果が得られている。

図表2-2-2-1 小麦圃場の衛星画像解析
図表2-2-2-1 小麦圃場の衛星画像解析
衛星画像により小麦の生育情報を解析し、解析結果を色分けして表示している
総務省「地域情報化ポータル」により作成

図表2-2-2-2 衛星画像解析に基づいた小麦刈取りの最適化によるCO2排出削減効果
図表2-2-2-2 衛星画像解析に基づいた小麦刈取りの最適化によるCO2排出削減効果
衛星画像を用いた小麦刈取り最適化により、年間CO2排出量を29%(10090キログラム相当)削減
総務省「地域情報化ポータル」により作成
http://www.applic.or.jp/tkportal/contents.php?jno=129

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 また、本取組が成功した理由としては、当初から、ステークホルダー(農家、JA、システム開発業者等)が一体となって開発に取り組み現場の指摘をシステムに反映できた点、十勝平野という広大な地域には衛星画像がマッチするというように、地域の特徴に合致したICTの活用方法を採用している点があげられる。
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