昭和55年版 通信白書

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8 準ミリ波帯通信方式

 電電公社では,年々増大・高度化する通信需要に対応するため,15GHz帯に次いで新しく20GHz帯を用いた長距離大容量ディジタル通信方式の開発を行い,51,52年度に東京―横浜,大阪―神戸の2区間において商用試験を行い良好な結果を得た。
 20GHz帯は,降雨による減衰が大きいため長距離回線には不適当と考えられてきたが,この方式は超高速PCM技術及び固体電子化技術の活用並びにPCMの性質と中継所構成の大幅な簡略化により約3kmごとに中継を繰り返し,長距離幹線系にも使用可能としたものである。
 本方式は,第2-7-8表に示すように1システム当たり400Mb/s(電話換算5,760回線)の伝送容量を有し,1ルート当たり現用8システムを用いて最大電話換算4万6,080回線を収容できる長距離大容量方式である。
 今後,向上する情報化社会の中で,本方式は,多様化する各種伝送形式に適応する全国的なディジタル通信網の構成に有効であり,55年度には東京―宇都宮間をはじめとして,3区間に導入される予定になっている。
 さらに,公社ではデータ,ファクシミリ,画像通信等の新サービスの進展に伴い増大することが予想される広帯域ディジタル加入者線の需要に対処するため,準ミリ波帯(25GHz帯)を用いて電話局と加入者を結ぶ加入者無線方式の開発を行っている。
 加入者無線方式は,電話局を基地局とし四つの扇形ビームを用いて,半形約7km内の事業所加入者等に広帯域ディジタル加入者線を提供するものである。
 本方式は,加入者当たり64kb/sから数Mb/sまでの広帯域ディジタル信号の伝送が可能であるとともに,加入者が散在していても即応性をもって経済的に対処できる特徴を有している。
 技術的にはDA-TDMA(Demand Assign Time Division Multiple Access)方式を採用することにより,同じ周波数を多数の加入者で共用し,周波数の有効利用を図っている。また,マイクロIC化の技術を用いることにより,装置の小型・軽量化を図り,ビルの屋上あるいは屋内に容易に設置できるようにしている。
 本方式について,55年度より現場試験が開始される予定になっている。

第2-7-8表 20GHz帯長距離大容量ディジタル通信方式の諸元

 

 

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