平成19年版 情報通信白書

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第1章 ユビキタスエコノミーの進展とグローバル展開

コラム 地域における企業の情報通信ネットワーク(LAN、WAN)構築の効果

 企業の情報通信ネットワークの構築が企業のパフォーマンスに及ぼす影響について、東京等(東京都、神奈川県及び大阪府。以下同じ)とそれ以外の地域を比較することにより分析した(※1)。
 まず、企業間通信網の構築と従業員1人当たり売上高の伸び率の関係については、全国ベースでは、企業間通信網の構築によって従業員1人当たり売上高の伸び率が高まることが確認された。これを更に東京等の企業と東京等以外の企業とに分けて分析してみると、東京等の企業では、企業間通信網を構築することによって従業員1人当たり売上高の伸び率が高まることが確認されたが、東京等以外の企業では、企業間通信網の構築の効果は確認されなかった。
 次に、従業員1人当たり売上高に替えて、売上高に与える影響について分析してみたところ、企業間通信網を構築することによって、東京等の企業の売上高は統計的に有意に増加する一方、東京等以外の企業の売上高と企業間通信網構築との間には有意な関係は確認されなかった。また、従業員数に与える影響については、企業の立地場所にかかわらず、企業間通信網の構築と従業者数との間には統計的に有意な関係は確認されなかった。つまり、東京等の企業における従業員1人当たり売上高の増加は、企業の従業員数の削減というよりも売上高の増加による可能性があることが示唆された。
 このことから、東京等では、地方の企業に比べて、企業における情報通信ネットワークの効果的な利用が進んでおり、それが従業員1人当たり売上高の増加につながっていると考えられる。東京等には情報サービス業が集積しており、そのサービスを容易に利用できる環境にあることが、東京等で情報通信ネットワークの効果的な利用が進んでいる一つの要因と考えることもできよう(※2)。

※1 分析の詳細については、付注11を参照
※2 これら3都府県に69%(従業者ベース)が集中(経済産業省「平成17年特定サービス産業実態調査・情報サービス業編」)

 第1節 情報通信と経済成長

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