昭和58年版 通信白書

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11 道路管理用

(1)現 状
 日本道路公団は,道路交通需要の急激な増加と,道路整備促進の要請にこたえ,有料道路の建設管理を行っており,58年3月末現在で,高速自動車国道については一部区間の供用も含めて供用中16路線(3,242.4km),建設中19路線(2,616.6km),一般有料道路については供用中53道路(703.9km),建設中30道路(278.2km)となっている。今後建設されるものも含め,全国の高速自動車国道の予定路線は約7,600kmと計画されている。
 高速道路における維持管理のための連絡は,特に迅速性が要求されるが,現在の通信系としては,非常通信系,指令通信系,業務通信系,移動通信系,電光表示の監視制御及び道路交通情報伝送系,電力・防災・気象観測等附帯設備監視制御系,料金収受関係及び長大橋観測等のデータ伝送系がある。
 これら高速道路における通信系は,移動通信系を除き,名神高速道路及び中央自動車道の一部については,マイクロウェーブ多重無線回線を主体としており,それ以外の高速道路については,電電公社の通信回線を使用している。
 また,移動通信系については,道路上の巡回車や作業車等と事務所との間で連絡を取る必要から,日本道路公団のほか,首都圏における首都高速道路公団,阪神圏における阪神高速道路公団及び各県の道路公社においても,それぞれ所管の高速道路の維持管理のため,150MHz帯(1部60MHz帯)又は400MHz帯の電波を使用している。
 一般有料道路においては,使用区間が短いことから,移動無線電話のみが設置されている場合が多い。
(2)動 向
 日本道路公団では,地震等の災害時あるいは重大事故発生時及び年末年始等の交通混雑時における情報の収集・提供に対処するため,ヘリコプターを利用し,このヘリコプターと地上の無線局間の通信回線を開設した。さらに,同公団は,災害対策基本法による指定公共機関として,地震防災応急対策を実施する責務を負っていることから,大災害等有事における迅速かつ正確な情報収集とこれに基づく的確な情勢判断及び指揮命令伝達体制を確立するため,55年度を初年度とする4か年計画で,本社,各管理局及び各管理事務所間を無線回線で結ぶ防災対策用無線局の開設に着手している。
 また,近年,モータリゼーションの進展に伴い,道路交通に関する情報は,国民にとって必要な生活情報であり,取り分けドライバーにとっては欠くことができない情報となっている。そこで,郵政省を中心として警察庁,建設省等関係機関で,現用のカーラジオを通じて,慢性的な交通渋滞多発地区等の特定区間を走行する車両のドライバーに即時性のある道路交通情報を直接に提供する路側通信システムを開発した。日本道路公団ではドライバーの受信状況及び技術的条件等について調査及び実験を重ね良好な結果が得られたことから58年中に実用化することとしている。

 

 

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