昭和58年版 通信白書

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14 自動車運送事業用

(1)現 状
 自動車運送事業においては,顧客に対するサービスの向上,車両の効率的な運行管理を行い,経営の合理化を図るなどの目的で無線通信を利用している。自動車運送事業用の通信は,主に400MHz帯又は150MHz帯の周波数の電波を使用して,営業所等に設置した基地局と車両に設置した陸上移動局との間で通信系を構成し,配車指令,荷物の集配指令等を行っており,無線通信が最も有効に活用されている分野である。
 タクシー事業では,顧客からの配車要請に応じて配車指令を行っており,他の業務と比べて無線化率は,極めて高く,57年度末には73.4%(18万5,451局)に達している。無線化率を地域別に見ると,大都市地域では低く(東京都35.8%,大阪府54.9%),反面,中小都市では高くなっており,特に静岡,青森,秋田,山形の各県では,100%が無線化されている。また,車両の一層の効率的運行を図るため,走行中の車両の現在位置や活動状況(動態)を基地局(運行管理センター)において常時把握できる「車両位置等自動表示システム(AVMシステム)」が56年4月東京都に導入されて以来,全国の主要都市に普及しており,タクシー事業の効率的な運営に役立てられている。
 貨物運送事業では,主として,貨物の集配指示,配車指令等を行っており,近年,小口貨物の宅配部門の需要増加に伴い,トラック業者のこの部門への進出は目覚ましく,迅速な集配を行うために無線通信の必要性が認識され,無線設備を装備したトラックは増加の一途をたどっている。特に貨物運送事業者が集中する東京,大阪等大都市では,周波数がひっ迫し,周波数の共用等の対策を講じている。
 バス事業では,長距離の路線バス,定期観光バス,都心と空港との間の輸送用等に利用されており,定時運行の確保のための指令,交通事故等の際の緊急連絡を行っている。
(2)動 向
 最近,貨物運送事業等の分野における無線通信に使用する周波数のひっ迫に対処するとともに,混信のない効率的な通信を実現することのできるMCA(マルチ・チャンネル・アクセス)システムが開発され,57年10月には東京地区,同年12月には大阪地区に相次いで導入されるとともに,58年中には,名古屋地区においても導入計画が進められている。
 また,大都市における貨物運送事業等の分野では,無線通信の需要は,潜在的な需要を含めて大きいことから,これらの需要に対処するため,周波数のより有効利用を図る方策として,MCAシステムの貨物運送事業等への導入計画が進行している。このMCAシステムは,多数の周波数を多数の事業者が共用するもので,現在の一波専用あるいは数社共用方式に比べて,より周波数の有効利用と大量の通信量を処理することができるものである。

 

 

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