昭和48年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第1部 総   論

第1章 我が国における通信の歩み

 通信の歴史は人間の歴史とともに古い。通信によってもたらされる情報は,個人の運命を変え,あるいは国家の活動を左右するなど,人間の歴史において常に重要な役割を果たしてきた。とりわけ社会活動における情報の比重が高まっている今日にあっては,通信の果たす役割に新しい意義が見い出されつつある。現代社会の情報化を支える通信メディアは,ここ1世紀の間に多彩な発展を遂げつつ,市民生活,企業活動に深く浸透し,情報化時代をもたらそうとしている。通信の歴史においてここ1世紀の歩みはまことにめざましいものがある。
 現代の通信は郵便とともに始まる。明治4年,近代郵便が発足し,短期間のうちにその組織網は全国にくまなく張りめぐらされ,料金も全国均一制が採用されて,当時としては画期的な制度ができあがった。そして通信を更に一層発展させたのは,電気通信の発明である。それまでの通信の大部分は,人間の足や交通機関に依存してきたが,電信電話はこれらに依存せず,時間と距離の制約を克服し,瞬時に情報を伝達することを可能にした。無線電信,無線電話が出現するに及び,むしろ船舶や航空機がその安全のために無線による通信を利用するようになり,交通機関が通信に依存するようになった。また,電波を利用して同時に不特定の多数を相手に通信ができるようになり,ここにラジオ及びテレビジョン放送が誕生した。
 このように現在我々のまわりには各種各様の通信が存在し,それぞれの特徴を生かしながら,社会のあらゆる分野で重要な役割を果たしている。
 これらの通信はどのように誕生し,またこれまでどのようなみちを歩んできたのであろうか。

 

 

巻頭言 第1回通信白書の発表にあたって に戻る 第1部第1章第1節1 内国郵便 に進む