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第5節 公衆電気通信事業の拡充と合理化1 国内公衆電気通信事業(1) 長期計画戦後我が国経済は,めざましい成長を遂げたが,この間における電気通信の質的向上と量的拡大は,この成長を支えた大きな力であった。けだし,国民の電気通信に対する期待は極めて大きく,やむことのない電話需要の増加は,それを象徴するものであった。急テンポの電話増設も需要に追いつかず,電話の需給不均衡は慢性的症状を呈し,その克服は,常に電気通信政策の最大の課題となっていた。 このような背景のもとて電電公社は,公社発足直後の28年以来,累次にわたる電信電話拡充5か年計画を策定し,加入電話の増設等公衆電気通信設備の整備・拡充に努力してきた結果,47年6月末において一般加入電話数は,2,000万に達するに至り,電話の積滞数は,45年度末の291万をピークとして以後減少することとなった。しかし,電話の需要は依然としておう勢であり,47年度末において,なお,200万を超える加入電話の積滞があり,積滞解消は依然重要な課題として残されている。一方,近年に至り,我が国経済の急速な成長過程で生じた種々のひずみが顕在化し,国民の間には成長第一主義に対する批判とともに,福祉社会実現のための新たな政策を望む声が強まった。政府はこの国民の要望にこたえ,昭和48年2月,「経済社会基本計画(48年度〜52年度)」を策定したが,その中において,電気通信ネットワークの整備は,国土再編成に先導的役割を果たすものであるとの基本認識に立ち,52年度末までに電話の積滞解消を図り,また公害防除,医療,教育の充実等,電気通信の多角的活用を期するものとし,これに要する期間中投資額は6兆5,100億円(47年度価格)と予定した。これに先立ち,電電公社では「電信電話拡充第5次5カ年計画(48年度〜52年度)」を策定したが,これは,電気通信に対する国民の広範な要請にこたえ,将来における我が国経済の成長発展並びにより豊かな国民生活の実現に積極的に寄与することとしており,「経済社会基本計画」とおおむね整合のとれたものとなっている。 この計画の中核は, [1] 住宅用電話を中心として電話の一層の普及を図り,52年度末には電話の積滞を全国的規模において解消し,自動化を完了するよう計画する等電話の一層の普及とサービスの向上,多様化を図り,経済の効率化と国民福祉の充実に資すること。 [2] データ通信,画像通信の拡充,開発を推進して,公共的要請及び国民の要望にこたえるとともに,ますます高度化し,多様化する電気通信需要に対処するため,総合電気通信網の形成を促進して,情報化社会の発展に寄与すること。 [3] 研究実用化の推進,経営の改善,基礎設備の整備・充実等,事業の発展基盤を強化すること。 [4] 地域振興,都市政策,流通機構の整備等の見地から長距離通話料金低廉化の要請もあり,電話料金の合理化について検討すること。 等である。 なお,主要工程は次のとおりであり,期間中の総投資額は7兆円を予定している。 (注)経済社会基本計画における投資額6兆5,100億円は47年度価格であり,公社計画の7兆円(時価換算)とほぼ見合うものである。 第5次5か年計画主要工程 [1] 加入電話 (ア) 一般加入電話 1,530万加入 事 務 用 275万加入 住 宅 用 1,255万加入 (イ) ビル電話 56万加入 (ウ) 地域集団電話 11万加入 [2] 公衆電話 21万個 [3] 市外電話回線 68万回線 [4] テレックス 3万加入 [5] データ通信 2万4,000端末 [6] テレビ電話 3,000端末 (参 考) 52年度末施設整備水準 一般加入電話 3,635万加入 事 務 用 1,250万加入 住 宅 用 2,385万加入 加入電話普及率 100人当たり34加入 ダイヤル化率 99.9% (2) 48年度事業計画 48年度は,第5次5か年計画の初年度として,建設投資額1兆1,940億円(対47年度当初予算比18.8%増)をもって,次のような工程を実施することとしている。 一般加入電話増設 310万加入 ビル電話増設 8万5,000加入 地域集団電話増設 6万加入 公衆電話増設 8万9,300個 市外回線増設 13万2,000回線 同軸ケーブル増設 66区間 マイクロウェーブ増設 119区間 新電話局建設 1,042局(うち,自動改式に伴うもの695局) 市外電話局建設 11局 (データ通信) 販売在圧管理システム 5システム 科学技術計算システム 3システム 預金・為替システム等 21システム 特定通信回線 4,500回線 公衆通信回線 4,750端末回線 この結果48年度末における電話加入数は,2,414万加人,積滞は204万件,自動化率は98.4%になるものと想定される。
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