昭和48年版 通信白書

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1 概   況

 最近の国内通信の動向は第1-2-1図のとおりである。
 通常郵便物数は前年度に対し2.5%の増加にとどまった。これは47年2月1日に実施された料金改定が影響しているとみられる。
 電話加入数の伸びは相変らず高く,電話の普及は順調に進展しており,47年度末で一般加入電話数は2,098万に達している。総利用回数も年々増加している。しかし,1加入当たりの平均利用回数は年々下がってきており,40年の1日平均7.6回から47年には5.0回となっている。これは事務用電話に比べて利用の少ない住宅用電話の加入数が増加している結果である。
 電報通数は38年度をピークとして減少傾向にあり,47年度は前年度に比べて13%減となった。利用内容をみると,業務用と慶弔電報とで大部分を占め緊急連絡用は3%たらずであり,個人間の連絡はほとんど電話に移行しているとみられる。
 最近の動きとして,データ通信の急激な拡大がある。データ通信は,電子計算機・通信技術の発達と46年の公衆電気通信法改正によるデータ通信の制度化と相まってシステム数が急激に増加している。46年度末の316システムが47年度末には485システムとなっている。また,異企業間を結合したシステムと情報処理業のオンライン化の動向が今後注目される。
 ポケットベルは,43年に東京で開始され,47年度中に京都,北九州,高松,金沢,広島,前橋,新潟,静岡,仙台の9地域でも開始され,47年度末で全国の加入者数は17万に達し,なお一層増大する傾向にある。
 放送の分野ではカラーテレビの普及が著しい。NHKのカラー放送受信契約数は47年度末で1,563万であり,全国総世帯の55.6%に及んでいる。テレビ放送全体の世帯普及率は87%に達し,放送は国民の日常生活に密着してきている。また,辺地における難視聴や都市部における高層建築物の増加による受信障害が最近大きな問題となってきている。
 ラジオ放送はテレビ放送より聴取時間は低いが,カーラジオ,ポータブルラジオの利用による「ながら聴取」が増加し,テレビとは違った機能をもってきている。
 通信量の増大はまた無線の利用をますます増大させている。47年度末で無線局数は約93万局で,放送,公衆通信,運輸,気象,警察等国民生活のあらゆる分野で利用されている。特に,公衆通信,人命財貨の保全等重要な分野において同報用や移動用等無線本来の特質を生かした通信の需要がなお一層高まっている。このため,近距離移動通信に適したVHF帯の周波数がひっ迫しており,より効率的な通信方式の開発が要請されている。
 国際通信においても,国際化の進展により通信は拡大の一途をたどっている。47年度の取扱数は電話が45.1%増,加入電信が36.1%増と前年度に比べ大幅に増加し,ここ数年減少傾向を示していた電報も1.3%増加した。外国郵便では,沖縄の郵便物が内国郵便となったこともあって22%減少したが,その他の地域については着実な伸びを示した。国際電話では34%が個人の利用する通話となってきており,国際通信の大衆化が進んでいることがうかがえる。今後,国際の場では,データ通信等新しい通信の発達に伴い,良質な回線による多彩な通信サービスをより安く提供しようとして各国間の競争がますます激しくなると予想され,我が国においても国際通信の分野における通信技術の開発とサービスの向上に一層努める必要がでてきている。

第1-2-1図 国内通信の動向

第1-2-2図 国際通信の動向

 

 

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