平成19年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 ユビキタスエコノミーの進展とグローバル展開

コラム 情報の非対称性と「協働型」ビジネスモデル

 協働型のビジネスモデルの進展は、消費者である個人と供給者である企業の間の「情報の非対称性」が縮小しつつあることを意味する。
 従来、企業は自社の製品やサービスに関する情報を豊富に持っている一方、消費者は購入に関する意思決定を行うための情報が限られており、企業からの情報に依存して製品やサービスを選択せざるを得なかった。ところが、ブログ、SNS等の消費者発信型メディアの台頭により、消費者も多種多様な情報に簡単にアクセスできるようになり、他の消費者の評価等も容易に知ることができるようになったことから、価格や品質等を比較、検討して購入することが可能になった。
 一方、企業は、従来、消費者のニーズの詳細や購入後の反応等を確実に把握する手段が少なかった。ところが、消費者がブログ、SNS等で他の消費者と情報の共有化等を図るようになったため、企業もこうした情報をマーケティングに活用することができるようになった。
 情報の非対称性が緩和されることによって、理論的にはより効率的な市場取引が実現する。消費者は十分な情報を得た上で消費行動を決定することができ、企業は消費者の行動を把握した上で事業戦略を立てることができるようになるからである。
 実際には企業も消費者も大量の情報から本当に必要な情報を選択するコストが高まるため、直ちに市場取引の効率化が進展するわけではないと考えられるが、協働型ビジネスモデルの下では、これまで情報の非対称性によってもたらされていた市場の非効率性が改善されることが期待される。
 
図表1 企業が開設するブログ・掲示板・ホームページの利用頻度
図表1 企業が開設するブログ・掲示板・ホームページの利用頻度
Excel形式のファイルはこちら
 
図表2 企業が開設するSNSの利用頻度
図表2 企業が開設するSNSの利用頻度
Excel形式のファイルはこちら

 また、企業が開設するブログ等を利用するようになって企業への評価は良くなったとする人が半数近くに上っており、協働型ビジネスモデルを採っている企業に対する消費者の評価はおおむね高いことが分かる。ブログやSNS等で消費者とのコミュニケーションを図ることにより、企業やその製品・サービスに対する消費者のロイヤリティを高める効果も期待される。
 
図表3 企業が開設するブログ・SNS等の利用による企業への評価の変化
図表3 企業が開設するブログ・SNS等の利用による企業への評価の変化
Excel形式のファイルはこちら

 第3節 情報通信と社会生活

テキスト形式のファイルはこちら

(4)新たな社会経済システムの出現 に戻る コラム スイーツ探検隊 に進む