平成19年版 情報通信白書

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第1章 ユビキタスエコノミーの進展とグローバル展開

(3)ユビキタス指数の作成

ア ユビキタス指数の概要
 ユビキタス指数は、ユビキタスネットワークの進展が利用面に大きな変化を生じさせることを踏まえ、利用面の特徴を十分に反映した指標とする必要がある。利用面に生じる変化をとらえる視点としては、利用主体のすそ野の広がりと、利用機会の増大・利用形態の多様化の二つがあると考えられる。そこで、前者を「普及の拡大」、後者を「利用の深化」と呼ぶこととし、両者をユビキタスネットワークの進展を測る二つの基準とする。その上で、これら二つの基準を表すデータのうち、過去にさかのぼり長期系列で利用可能なものの中から、「普及の拡大」については、「固定電話加入契約数」、「移動体通信加入契約数」、「パソコン世帯普及率」、「インターネット人口普及率」及び「ブロードバンド契約数」の5系列、「利用の深化」については「情報流通センサス選択可能情報量」、「企業におけるテレワーク実施率」及び「ソフトのマルチユースの割合」という3系列、合計8系列を選定し、それらを基に2000年時点を100とする「ユビキタス指数」を算出した3
 ユビキタス指数の推移を見ると、ここ数年、我が国においてユビキタスネットワークが急速に進んだことが確認される。さらに時間軸に沿って分析すると、いくつかの特徴が指摘できる。まず、1970年代後半は、日本全国において固定電話の積滞解消とダイヤル通話の自動即時化が達成され、その普及が一段落した時期であり、ユビキタス指数の対前年比伸び率は緩やかに減少している(→図表1-1-3[1])。1980年代後半から1990年代に入り、日本電信電話公社の民営化、電気通信市場の自由化等、固定電話を中心とする競争環境が進展する中、指数には余り大きな変動はなく横ばいで推移している(→同[2])。指数が急速に伸び始めているのは1995年以降であり、この時期はちょうどパソコン、インターネット、携帯電話の普及が順次本格化した時期に当たる(→同[3])。対前年比伸び率は、1990年代後半からの世界的なITブームを受けて2001年にピークを迎え、その後やや鈍化してはいるものの、依然として40%から60%の高い値が続いている(→同[4])。
 
図表1-1-3 ユビキタス指数の推移
図表1-1-3 ユビキタス指数の推移
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イ ユビキタス指数の将来推計
 ユビキタス指数の将来推計値は、指数作成に用いた8系列のそれぞれについてその近似曲線を求めてそれらを合成し、2010年まで延長して算出した。その結果、「普及の拡大」に関する各系列については対前年比伸び率が鈍化するものの、「利用の深化」を構成する情報流通センサス選択可能情報量については2010年まで大きく伸びるという試算値が得られた(図表1-1-4)。これらを合成したユビキタス指数の将来推計値は、2006年以降、対前年比伸び率が再び上昇に転じる。1990年代後半に「普及の拡大」によって進展したユビキタスネットワークは、今後2010年に向け、「利用の深化」にけん引されて進展が加速していくと見られる(図表1-1-5)。
 
図表1-1-4 各データ系列の将来推計
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図表1-1-5 ユビキタス指数の将来推計
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3 ユビキタス指数の算出の詳細については、付注2を参照

 第1節 情報通信と経済成長

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