平成19年版 情報通信白書

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第1章 ユビキタスエコノミーの進展とグローバル展開

(6)情報通信産業の経済波及効果の将来像

 以下、情報通信産業の経済波及効果が、今後5年程度を目途に、どのように推移するか予測する。なお、経済波及効果の変動は様々な要因が複合的に組み合わさり生じるものであるが、ここでは技術構造や産業構造、輸入構造等は一定とし、これまでの需要トレンドが今後も続くと仮定した25
 情報通信産業の付加価値誘発額は平成17年の1.3倍程度に伸び、伸び率は他の産業と比較して最も大きくなると考えられる。規模で見ると、建設や医療・保険、その他の公共サービスの付加価値誘発額を超え、対個人サービスの付加価値誘発額に迫る程度にまで拡大すると予測される。このようなペースで経済全体に占める情報通信産業のウェイトが高まるとすると、今後、経済のけん引役として情報通信産業に資源を集中させることによって、経済成長が促される可能性があるといえる(図表1-1-60)。
 
図表1-1-60 主な産業の付加価値誘発額の将来予測
図表1-1-60 主な産業の付加価値誘発額の将来予測
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 さらに、情報通信産業の付加価値誘発額を部門ごとに見ると、情報通信関連製造、情報サービス、通信の3部門が引き続き大きな割合を占めると予測される。特に、通信サービス部門と通信部門の誘発額は伸び率が大きく、ともに平成17年の1.4倍程度となっている。また、情報通信関連製造部門の誘発額は平成17年の約1.2倍と伸び率は情報サービス部門、通信部門より小さいが、割合は最も大きい(図表1-1-61)。
 
図表1-1-61 情報通信産業の各部門の付加価値誘発額の将来予測
図表1-1-61 情報通信産業の各部門の付加価値誘発額の将来予測
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 次に雇用誘発については、他の産業の雇用誘発数は横ばいあるいは減少すると予測されるのに対し、情報通信産業の雇用誘発数は増加すると予測される。情報通信産業の部門ごとの雇用誘発数は、情報通信関連製造、情報サービス、通信の3部門の占める割合が大きく、中でも情報サービス部門の誘発数は、平成17年に最も大きい割合を占めている情報通信関連製造部門を超えると予測される。情報通信関連製造部門については、輸入の増加や生産に対する雇用者割合の低下のような現在見られる傾向が持続する場合、雇用誘発数は減少する可能性もあると考えられる。したがって、情報通信産業の将来の雇用誘発数に関しては、特に情報通信関連製造部門の動向に注意する必要があるといえる(図表1-1-62、1-1-63)。
 
図表1-1-62 主な産業の雇用誘発数の将来予測
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図表1-1-63 情報通信産業の各部門の雇用誘発数の将来予測
図表1-1-63 情報通信産業の各部門の雇用誘発数の将来予測
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 また、情報通信産業のR&D誘発額は、他の産業と比較して平成17年時点で最も大きく、今後更に拡大すると予測される。また、情報通信産業の部門ごとのR&D誘発額は、引き続き情報通信関連製造部門の割合が圧倒的に大きく、今後、情報通信機器ベンダーが製品の中核となる技術開発に積極的に取り組むことにより、我が国の産業全体をけん引していく役割を果たすことが期待される(図表1-1-64、1-1-65)。
 
図表1-1-64 主な産業のR&D誘発額の将来予測
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図表1-1-65 情報通信産業の各部門のR&D誘発額の将来予測
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25 将来予測値の算出には平成17年の情報通信産業連関表(実質)を用いている。経済波及効果の算出に用いる最終需要額のみ平成17年から5年後まで延長推計した値を使用した。この推計は、平成7年から平成17年までの実質最終需要額をタイムトレンドに線形回帰し、推計パラメーターを用いて算出している。線形回帰は産業別に行っているが、情報通信産業のみ通信部門、放送部門等部門別に行っている。なお、将来予測値の詳細な推計方法については、付注9を参照

 第1節 情報通信と経済成長

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