平成19年版 情報通信白書

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第2章 情報通信の現況

(2)欧州の情報通信政策の動向

ア EU
 2006年(平成18年)、欧州委員会は現行の「2002年電子通信規制パッケージ」の見直しに向けた活動を行った(図2-8-13)。当初予定されていた同年内の新しい電子通信規制枠組みの提案は、2007年(平成19年)へと持ち越されている。
 
図表2-8-13 EUの電子通信パッケージの見直しに向けた主な取組
図表2-8-13 EUの電子通信パッケージの見直しに向けた主な取組

 また、加盟国のテレビ番組規制等の調和を図る目的で制定された「国境のないテレビ指令」の見直しも行われている。この改正案6は、テレビ等の動画提供サービスを「リニア・サービス(送信者が送信のタイミングを決定するもの:テレビジョン等)」と「ノンリニア・サービス(受信者が受信のタイミングを決定するもの:VOD(ビデオ・オン・デマンド)等)」とに区分し、前者には放送事業者に対して適用されている既存の規則と類似したものが適用され、後者には青少年保護、人種等に基づく憎悪助長の禁止、消費者を誤った方向に導く広告(不正広告)の禁止等の最小限の規則が適用されるとしている。改正案は、2006年(平成18年)11月、欧州連合理事会において同意が得られ、同年12月の欧州議会においても支持された。欧州委員会は3月に指令の改正へ向けた統合協定文を発表しており、欧州連合理事会と欧州議会の承認を得て2007年(平成19年)中の成立が見込まれている。

イ イギリス
 情報通信庁(OFCOM :Office of Communications)は次世代ネットワーク(NGN)に関し、競争促進のための規制アプローチに関する文書「次世代ネットワーク:規制枠組みの展開」を2006年(平成18年)3月に公表し、業界調整の枠組みの改善とNGNに関する事前規制の枠組みの透明性向上についての当面の取組方針を明らかにした。これに基づき、業界団体「NGNuk」が新設され、NGNの構築・運営を業界主導で行う枠組みが形成された。さらに、NGN関連の消費者問題として消費者が受けるサービスの品質維持や既存網からNGNへの移行プロセスに際し、消費者への情報提供の対応等も検討された。OFCOMは、次世代のアクセス・ネットワークに関して、ブロードバンド普及促進を視野に入れ、次世代アクセス網に関する文書を11月に発表した。2007年(平成19年)初めからOFCOMによる専門家会議が多数開催され、この問題について実質的な検討が行われることとなっている。

ウ フランス
 フランス政府は2006年当初から、ブロードバンド拡張を政策目標に掲げ、同年後半には、従来主流であったADSLに加え、FTTHの本格的導入を目指して基盤拡張への支援計画を発表している。同年11月には超高速ブロードバンド拡張に関する5年計画を発表しており、2012年(平成24年)までにFTTH加入者を400万まで増加させることを目標にネットワーク敷設コストの軽減、地方自治体のプロジェクトの支援、開発活動及びサービス利用の拡大、情報交換の場の設定を課題とした(図表2-8-14)。
 
図表2-8-14 フランスのブロードバンド拡張に向けた主な取組
図表2-8-14 フランスのブロードバンド拡張に向けた主な取組


6 個人的な通信(電子メール、ブログのような個人のウェブサイト等)、電子版の新聞、雑誌、オーディオ・ビジュアル・コンテンツの提供を主目的としないウェブサイト等は、改正案の適応範囲外とされている

 第8節 海外の動向

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