平成15年版 情報通信白書

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第1章 特集「日本発の新IT社会を目指して」

(4)無線タグの広汎な活用

無線タグの番号の付与や管理等が課題

 無線タグとは、ICチップとアンテナで構成され、無線を用いて接触することなくICチップに格納された識別データ等の読みとり、書き込みを可能にしたタグ(荷札)をいう。タグ内に電源を備えないものは、ネットワーク側の機器が出す電波の電力を利用して処理を実行し、無線で処理結果を送信する(図表1))。
 無線タグとして現在広く利用されている事例としては、JR東日本が自動改札等の交通カード用に発行しているSuicaがある。Suicaは、平成13年11月に提供開始され、平成15年4月に利用者数が600万人を突破している。このほかに、無線タグは、オフィスの入退室管理のIDカード、生産現場等で用いられており、無線タグの出荷金額も増加している(図表2))。

 
図表1) 無線タグの例

図表1) 無線タグの例

 
図表2) 無線タグの国内出荷数及び金額の推移

図表2) 無線タグの国内出荷数及び金額の推移
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 無線タグは、小型化(0.4mm角等)によりあらゆるモノに添付することが可能となることと、インターネット等のネットワークを活用することにより場所を問わず利用可能になるため、無線タグは更に広汎な分野への応用が期待されている。応用事例は、製造・物流・在庫管理の効率化、商品の精算、履歴の管理、盗難・事故の防止、廃棄時の分別等にわたり、商品の製造過程から流通、販売、利用、アフターケア、リサイクル等の全サイクルでの利用が検討され、既に多様な用途に導入されつつある(図表3))。
 今後、無線タグが広く普及していくための課題として、1)個別の企業や業界の枠を超えて利用を可能にするための無線タグへの番号の付与・管理、2)現在商品管理に使われているバーコードに比べると高い単価の低下、3)安心して利用するためのプライバシーや情報セキュリティの確保等が指摘されている。このうち、無線タグの番号の付与・管理等については、平成15年1月に慶応大学湘南藤沢キャンパスに設立されたオートIDセンターの研究拠点や平成15年3月に設立されたユビキタスIDセンター等において検討が進められている。

 
図表3) 無線タグの先進的な事例

図表3) 無線タグの先進的な事例
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