平成15年版 情報通信白書

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第2章 情報通信の現況

3 海外における通信・放送事業者の動向

欧米で、通信・放送事業者の破綻・経営不振が相次ぐ

1 電気通信

 国際的な電気通信市場を見てみると、2002年4月にAT&T(米国)とBT(イギリス)の合弁企業であるコンサートが解散した。1998年8月のユニソース、2000年1月のグローバルワンの解散に続いてコンサートが解散したことにより、1990年代に始まった主なグローバルアライアンス(国際提携)はすべて解消した。
 米国では、2001年には、DSL等の小規模な新興参入事業者の破綻が相次いでいたが、2002年1月には、グローバル・クロッシングが破綻、同年7月には長距離・国際通信事業で全米第2位のワールドコム(現MCI)が、不正会計発覚を契機に破綻した。ワールドコムの経営破綻は、米国史上最大規模のものであった。また、AOL・タイムワーナーは、2002年決算で米国史上最大の最終赤字約987億ドルを計上した。
 欧州では、2002年中にBT、ドイツテレコム、フランステレコムといった各国主要通信事業者は、負債の増大等経営不振により、海外事業や非中核部門からの撤退、売却を進めている。また次世代携帯電話事業についても、免許料の高騰、IT不況等により、延期、撤退も発生している。2002年9月には、フランステレコムはリストラ策の一環として、ドイツのモビルコムとの提携を解消した。そのため、経営破綻の危機に直面したモビルコムに対し、ドイツ政府は融資による救済を行った。また、2002年12月に、フランス政府は約90億ユーロの公的資金を用いて経営の悪化したフランステレコムへの融資を行った。このほか、企業データ通信ネットワークを提供していたKPNクエストが2002年5月に破綻を申請した。

2 放送・メディア

 米国では、コムキャストがAT&Tブロードバンド部門を買収し、2002年11月に全米最大のケーブルテレビ会社AT&Tコムキャストが発足した。一方、オーストラリアのメディア大手ニューズ・コーポレーションは、2003年4月に、米国衛星放送最大手のヒューズ(DirecTVの親会社)を買収すると発表した。また、ケーブルテレビ事業者のアデルフィアが、不正会計発覚を契機に、2002年6月に破綻した。
 ドイツでは、2002年4月、欧州最大のメディアグループであったキルヒ・メディアが、スポーツ放映権料の高騰等を背景に経営破綻した。イギリスでは、地上波デジタル放送事業者のITVデジタルが2002年3月に破綻し、同年10月に清算が完了した。

 
図表 国際的な電気通信業界の動向(概要)

図表 国際的な電気通信業界の動向(概要)

 

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