平成15年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

2 情報セキュリティ及びプライバシー保護対策の推進

(1)情報セキュリティ対策への取組

セキュアOSに関する調査研究を実施予定

 IT化の進展は、国民生活、経済活動に大きな恩恵をもたらす一方、社会全体の情報通信システムへの依存度を高めるため、情報通信システムへの攻撃が社会全体に重大な事態を引き起こすこともあり得る。平成15年1月末には、韓国等において大規模なインターネット障害が発生した。今後のIT戦略の推進に当たっては、情報セキュリティ対策をより強化することが不可欠であり、総務省では以下の取組を行っている。また、平成15年3月に国民一般の情報セキュリティについて周知啓発を図るため、「国民のための情報セキュリティサイト」を開設した(図表1))。

 
図表1) 「国民のための情報セキュリティサイト」

図表1) 「国民のための情報セキュリティサイト」

1 ネットワークセキュリティ技術に関する研究開発

 「ハッカー対策等の基盤整備に係る行動計画(平成12年1月情報セキュリティ関係省庁等会議決定)」及び「e-Japan重点計画」を踏まえ、平成13年度より、情報セキュリティ水準の向上に向けた技術開発として、1)ネットワーク系セキュリティ技術、2)アクセス系セキュリティ技術、3)流通情報(コンテンツ)系セキュリティ技術、4)セキュリティ共通要素技術/評価・検証技術の4分野における情報セキュリティ技術の開発を実施している。
 また、平成15年度から17年度までの3年間において、コンピュータウイルス等を収集・動態保存したデータベースとその研究のための模擬 ネットワークによるテストベッドを構築し、ウイルスのネットワークへの影響の予測・分析や迅速なウイルス対策の策定が可能になる研究開発環境を整備する予定である。テストベッド構築と平行し、平成17年度までにウイルスの発生による緊急事態に迅速に対応するための体制及び外部研究者の当該テストベッドの共同利用体制を確立する予定である。

2 セキュアOSに関する調査研究

 平成15年度に電子政府・電子自治体へのオープンソースOS導入の在り方の検討に資することを目的として、オープンソースOS及び非オープンソースOSについて、セキュリティ面、運用面、コスト面等の様々な観点から、そのメリット・デメリットの客観的・中立的な評価を実施する予定である。

3 無線インターネットのセキュリティに関するガイドラインの作成

 無線インターネットアクセスには有線では実現できない高い可搬性等の利点があり、今後のブロードバンドアクセスの手段の一つとして期待される一方、セキュリティ面での問題点が懸念されている。そこで、既存のセキュリティ技術の評価やセキュリティ向上のための方策について検討を行い、平成15年度にその結果をガイドラインとして取りまとめ、無線インターネットアクセスを利用する際のセキュリティ対策の周知啓発に活用する予定である。

4 不正アクセス対策

(1)不正アクセス禁止法の運用

 平成12年2月に施行された「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」第7条第1項の規定に基づき、国家公安委員会、総務大臣及び経済産業大臣は、毎年少なくとも1回、不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発状況を公表することとし、不正アクセス行為が行われにくい環境の構築に資することとしている。

(2)不正アクセス対策促進税制

 我が国においては、情報セキュリティ対策に不可欠なファイアウォール装置の普及率は高いとはいえない状況にある。そこで、税制支援措置を講じることにより、ファイアウォール装置の普及を促進し、我が国におけるインターネット利用環境の安全性の確保を図るため、国税については平成14年4月1日から15年3月31日まで、地方税については平成14年4月1日から16年3月31日まで税制支援措置を実施している(図表2))。

 
図表2) 不正アクセス対策促進税制の概要

図表2) 不正アクセス対策促進税制の概要 3-4-1参照
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5 情報セキュリティ確保に向けた官民連携の強化

 我が国の情報セキュリティ確保において、情報セキュリティ・ビジネスや営利を目的としない中立的な組織であるCSIRTやISAC等の各種インシデント対応組織は、重要な役割を果たしている。そこで、総務省では平成13年10月から「情報セキュリティ・ビジネスの発展と官民連携の在り方に関する調査研究会」を開催し、情報セキュリティ・ビジネスの現状と今後の発展動向、インシデント対応組織の現状、インシデント対応への取組の在り方等について調査・検討を行い、平成14年7月、最終報告が取りまとめられた。この報告を踏まえ、平成14年7月に業界団体3団体及び電気通信事業者7社は、インシデント発生時の対応や官民連絡・連携に係る対策を進めるため、「インシデント情報共有・分析センター」(Telecom-ISAC Japan)を設立し、平成15年3月にサービス提供を開始している。

関連サイト:http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/security/index.htm

関連ページ:情報セキュリティの確保と安心できるIT社会の構築については、1-5参照

 
参考:「情報セキュリティ・ビジネスの発展と官民連携のあり方に関する調査研究会」
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