平成15年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

3 電波の有効利用政策の推進

電波再配分のための給付金制度と電波政策ビジョンの検討

1 最適な電波の配分の実現

 近年、携帯電話の急速な普及に伴い、電波利用は質的に変化するとともに量的にも大きく拡大しており、平成15年2月末には無線局数が7,900万局を超えるなど、我が国の電波のひっ迫状況は非常に深刻化している。他方、無線によるインターネット利用環境の向上のための無線アクセスシステム等の拡充など、電波に対する国民のニーズは、今後ますます広帯域・大規模化することが予想される。このような状況の中、無線インターネットの普及のための環境を整備し、いつでもどこでも何にでもつながるユビキタスネットワークの形成を推進する観点から、実際の電波の利用状況を踏まえつつ、新たな電波ニーズに的確に対応するため、電波の迅速かつ円滑な再配分が求められている。

(1)電波の利用状況の調査・公表制度の導入

 電波の迅速かつ円滑な再配分を実施するためには、実際の電波の利用状況を把握することが必要である。このため、総務省では、平成14年の電波法改正により導入された電波の利用状況の調査、公表及び評価する制度に基づき、国民の意見を求めた上で、電波の有効利用の程度を評価することとしている。また、その一環として、平成15年3月から、インターネット上での無線局免許情報の公表を開始している。

(2)迅速かつ円滑な電波の再配分方策の検討

 電波の利用状況の調査・公表制度に基づき、その有効利用を評価した結果、必要である場合には電波の迅速かつ円滑な再配分を実施することになるが、実際に電波の再配分を行うに当たっては、既存免許人に相当の経済的な負担が発生することが予想される。このため、総務省では、平成14年1月から「電波有効利用政策研究会」を開催し、同年12月、経済的な損失を受ける既存免許人に対する給付金制度の導入等を提言した第1次報告書が公表された。これらの提言を踏まえ、総務省では、平成15年2月から給付金制度の具体化に向けた検討を行うため、「電波再配分のための給付金制度の具体化に関する研究会」を開催しており、研究会では、同年7月を目途に検討結果を取りまとめる予定である(図表1))。

 
図表1) 最適な電波割当に向けた取組

図表1) 最適な電波割当に向けた取組

2 電波政策ビジョンの策定

 電波のひっ迫が深刻化する中、電波資源を国民生活の向上や我が国経済の活性化に一層効果的に役立てていくためには、従来以上に戦略性を持った電波行政の展開が必要である。このため、総務省では、電波利用の将来を展望しIT戦略や国際戦略等の総合的な観点から、電波行政を推進するための中長期的ビジョン(電波政策ビジョン)の策定について、平成14年8月に情報通信審議会に諮問した。審議会では、「電波政策特別部会」と専門的な調査を行う「ビジョン委員会」を設置して、1)電波利用を取り巻く内外の動向、2)電波利用の将来展望と今後の周波数需要予測、3)電波行政の今後の政策目標と施策について検討を行っている。審議会では、平成15年半ばに答申を行う予定である(図表2))。

 
図表2) 電波政策ビジョンの必要性

図表2) 電波政策ビジョンの必要性

関連ページ:無線局については、2-2-5(3)参照

 
参考: 「電波有効利用政策研究会」
  「電波再配分のための給付金制度の具体化に関する研究会」
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