平成15年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 特集「日本発の新IT社会を目指して」

(2)電子商取引

平成14年におけるB2C市場は1.6兆円、B2B市場は60兆円に成長

1 電子商取引市場規模

 企業においては、従来、紙でやり取りしていた受発注を電子化することで取引を効率化することができること等から、インターネットを利用して調達や販売を行う電子商取引の利用が進展している。また、個人においては、インターネットを利用して自宅に居ながら買い物ができるという簡便性に加え、ブロードバンド化に伴う利便性の向上によりネットショッピングの利用が増加している。
 平成14年における我が国の電子商取引市場(注)の市場規模は、個人が家電製品、生活用品等をインターネットを利用して購入する「B2C(企業―個人間)」の市場規模が1兆5,870億円(対前年比90.1%増)と大幅に増加している(図表1))。また、企業が原材料やパソコン、書籍等を企業からインターネットを利用して購入する「B2B(企業―企業間)」の市場規模は60.0兆円(対前年比10.5%増)となった(図表2))。

 
図表1) 電子商取引(B2C)市場の推移

図表1) 電子商取引(B2C)市場の推移
Excel形式のファイルはこちら


 
図表2) 電子商取引(B2B)市場の推移

図表2) 電子商取引(B2B)市場の推移
Excel形式のファイルはこちら


2 我が国企業の電子商取引の利用状況

 平成14年末における我が国企業における電子商取引の利用率は、B2B(企業―企業間)が全企業の26.7%、B2C(企業―個人間)が13.0%となっている。また、産業別にみると、B2Bの利用率は、物品の商品の仕入や調達を頻繁に行う卸売・小売業、飲食店が34.1%と最も高い。また、B2Cの利用率は、金融・保険業が30.5%と最も高くなっている。また、金融・保険業を除いた産業で、B2CよりもB2Bの電子商取引の利用率が高い(図表3))。

 
図表3) 産業別における電子商取引の利用率(複数回答)

図表3) 産業別における電子商取引の利用率(複数回答)
Excel形式のファイルはこちら


 企業の電子商取引の利用は着実に進展しているものの、電子商取引を実施していない企業の方が多数を占めている。また、電子商取引を実施している企業も多くの課題を抱えている。
 電子商取引実施企業における利用の際の問題点及び電子商取引未利用企業における利用しない理由は、ともに「セキュリティ対策が十分でない」と回答した企業が最も多く4割を超えている。また、「システムの構築に専門知識を要する」は、電子商取引実施企業における問題点の第2位、電子商取引未利用企業において実施しない理由の第3位になっている。今後、電子商取引の利用拡大のためには、セキュリティ対策や人材育成が重要な課題となっている。また、電子商取引実施企業の問題点の第3位は「伝票やデータフォーマット等が業界によって異なる」であり、業界間の規格統一も強く望まれている(図表4))。

 
図表4) 企業における電子商取引実施上の問題点、電子商取引を実施しない理由

図表4) 企業における電子商取引実施上の問題点、電子商取引を実施しない理由
Excel形式のファイルはこちら


3 受発注から決済まで可能な電子決済システムの実用化

 電子商取引の普及とともに、電子認証等を活用した電子決済システムの利用が進んでいる。
 平成14年8月から、大阪市中央卸売市場(青果部)では、卸業者と仲卸業者の間の請求、決済、売掛債権の管理、入金消し込み等の事務処理が、インターネットを利用したウェブ上で完了する電子請求書連動型振込サービスを導入している(図表5))。
 当該サービス導入により、利用企業は市場内での受発注から請求書の送付、決済までのすべてのやり取りを電子データにより処理することも可能となるため、大幅な事務削減及び時間短縮が可能である。また、当該サービスは、ウェブ上で行われるため、利用企業は利用するに当たって新規の情報化投資を要せず、多額の情報化投資を行うことが難しい中小企業においても利用が進んでいる。大阪市中央卸売市場では、平成15年3月現在、卸売業者3社、仲卸業者約30社がこの仕組みを利用している。
 このように、電子決済は、決済事務の電子化による合理化を目的とするだけでなく、受発注や債権管理事務等の周辺業務との連携を考慮したシステムが開発、実用化されている。

 
図表5) 大阪市中央卸売市場における電子決済の仕組み

図表5) 大阪市中央卸売市場における電子決済の仕組み



(注)ここでの電子商取引の定義は、公衆網のインターネット、TCP/IPの専用線等を用いた調達・販売とする
 なお、電子商取引市場規模は、電子商取引の主体で分類し、B2C(企業―個人間)市場、B2B(企業―企業間)市場について推計しており、中間財市場、最終消費財市場に分類していた平成14年版情報通信白書と異なる。推計方法については、資料1-2-12参照

 
参考:「企業経営におけるIT活用調査」
テキスト形式のファイルはこちら

第1章第2節3(1)インターネットビジネスの市場規模 に戻る 第1章第3節 第3節の要旨 に進む