平成15年版 情報通信白書

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第1章 特集「日本発の新IT社会を目指して」

(3)日米企業におけるIT導入と情報化投資効果の発揮状況

我が国企業の情報化投資の効果発揮は、米国企業に比べ限定的

1 日米における情報化投資

 我が国の平成13年(2001年)の情報化投資額は25.0兆円であるが、米国の情報化投資額(注1)は5,499億ドル(約66.6兆円)と我が国の約2.7倍となっている。また、情報化投資額の民間設備投資額に占める割合は、平成13年(2001年)には我が国が29.4%であるのに対し、米国は42.9%である(図表1))。さらに、平成2年(1990年)から13年(2001年)にかけて、我が国の情報化投資が2.49倍に増加しているのに比べ、米国は6.11倍と2倍以上の増加率を示している(図表2))。このように、情報化投資が民間設備投資に占める割合及び情報化投資の増加率のいずれにおいても米国は我が国を上回っている。
 ただし、平成13年(2001年)の情報化投資額の対前年比は、我が国は対前年比10.9%増と増加が続いているのに対し、米国においては5.4%減と減少に転じている。

 
図表1) 日米における情報化投資額及び民間設備投資比の推移

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図表2) 日米における情報化投資の推移(平成2年を100として指数化)

図表2) 日米における情報化投資の推移(平成2年を100として指数化)
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2 日米企業におけるIT導入状況

(1)インターネットの普及状況

 平成14年末における従業員300人以上(注2)の我が国企業におけるインターネット接続率は、98.4%であり、ほぼすべての企業がインターネットを利用している。米国企業(99.5%)との差もほとんどない。しかし、1人1台以上ネットワーク端末を設置している我が国企業は37.5%であり、米国企業の80.9%と比べて大幅に低い水準となっている(図表3))。

 
図表3) 日米企業のインターネット接続率及び端末の配備状況

図表3) 日米企業のインターネット接続率及び端末の配備状況
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(2)情報システムの導入状況

 我が国企業の情報システム導入率は、経理、人事等の間接業務では導入率が75%を超えているが、仕入、生産、販売等の直接業務では7割以下となっている。特に、アフターサービスでは3割を下回っている。これに対し、米国企業の情報システム導入率は、商品生産を除く業務では導入率が6割を超えており、我が国企業と比べて業務間の差が少ない。日米企業の情報システム導入率を比較すると、商品生産を除く直接業務にかかわる情報システムは米国企業の方が導入率が高いが、間接業務にかかわる情報システムでは我が国企業の方が高い(図表4))。

 
図表4) 日米企業における業務別の情報システム導入率

図表4) 日米企業における業務別の情報システム導入率
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3 情報化投資の効果発揮状況

 日米双方において情報化投資額は増加を続けているが、企業においては、投資に見合う効果が発揮されてはじめて、情報化投資は意味を持つ。そこで、日米企業の情報化投資の効果発揮状況について、コスト削減・業務効率化と売上拡大・高付加価値化に分けて、比較を行った。
 コスト削減・業務効率化については、「間接コスト削減」及び「業務効率化」は我が国企業の方が、「直接コスト削減」、「部品在庫の圧縮」、「調達単価の引下げ」については米国企業の方が効果があったと回答した企業の割合は高い。総じてコスト削減・業務効率化については日米企業ともに同等の効果を発揮しているといえる。
 これに対し、「売上拡大」、「新規顧客獲得」等の売上拡大・高付加価値化については、各項目において米国企業の方が我が国企業に比べ効果があったと回答した企業の割合が高く、その差も大きい(図表5))。
 また、情報化投資の投資対効果の総合的な評価では、効果があったとする企業は、米国の69.9%に対し、我が国は53.1%となっている(図表6))。
 これらの結果から、米国企業は、情報化投資の効果の発揮について、特に売上拡大・高付加価値化の面で我が国企業を大きく上回っており、これが米国企業の競争力強化につながっていると考えられる。

 
図表5) 日米において情報化投資の効果があったとする企業の割合(効果の内容別)

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図表6) 日米において「総合的に見て情報化投資の効果があった」とする企業の割合

図表6) 日米において「総合的に見て情報化投資の効果があった」とする企業の割合
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(注1)米国における情報化投資の推計方法については、資料1-2-4参照。情報化投資額の推移の詳細については資料1-2-2参照
(注2)「企業経営におけるIT活用調査」では、日米ともに従業員300人以上の企業を対象としたアンケート調査を行っている。総務省「通信利用動向調査」と比較する際は、「通信利用動向調査」の従業員300人以上の企業の調査結果を使用

 
参考: 「ITの経済分析に関する調査」
  「企業経営におけるIT活用調査」
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