平成15年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

(3)IPアドレス・ドメイン名の管理

インターネット・ガバナンスの状況

1 ICANNの役割

 世界中の人々がインターネットを安心して利用できるためには、インターネットを利用する上で必要不可欠なIPアドレス、ドメイン名等の適切な管理が極めて重要である。現在、民間の国際非営利組織であるICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が、これらインターネット資源の適切な管理を行っている。このように、インターネットを安定的に運用するための体制を整備する活動を「インターネット・ガバナンス」という。
 ICANNは、最高意思決定機関である理事会を頂点にして組織されており、技術者、ビジネス関係者及び一般会員をはじめとするインターネット利用者等によるグローバルなコンセンサスに基づき活動している(図表1))。2002年10月の上海会議において組織の改革が採択され、現在組織変更が実施されている。各種委員会のうち、各国政府及び国際機関の代表者から構成される政府諮問委員会(GAC)には、総務省が我が国唯一の正式登録メンバーとして参加し、我が国のインターネット利用者の意志を国際的な議論に反映させつつ、アジア・太平洋地区をはじめとする国際的な協力体制の確立に取り組んでいる。

 
図表1) ICANNの構成

図表1) ICANNの構成

2 ドメイン名の適切な管理

 ドメイン名は、数字の羅列であるIPアドレスを分かりやすい文字列に置き換えた、いわば「インターネット上の住所」であり、IPアドレスとともにインターネット基盤を支える重要な資源として国際的に管理されている。
 ドメイン名は、「.com」や「.net」のような国の区別なく世界中で自由に取得可能な分野別ドメイン名(gTLD:generic Top Level Domain Name)及び「.jp」のような国別ドメイン名(ccTLD:country-code Top Level Domain)の大きく2種類に分けることができる。分野別ドメイン名は米国VGRS社をはじめとする登録管理組織、またJPドメイン名は日本レジストリサービス(JPRS)社によって管理されており、ともにISP等の登録事業者を通じて取得することができる。
 JPドメイン名については、平成14年3月までは(社)日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が一元的に登録管理業務を行ってきたが、ドメイン名をめぐる競争や登録件数の急増に柔軟に対応するため、同年4月、ドメイン名の登録管理業務をJPRS社に移管している。この業務移管に先立ち、JPRS社は同年2月、ICANNとの間で「ccTLDスポンサ契約」を締結し(オーストラリアに続いて世界で2番目)、この契約により、JPドメイン名におけるICANN、JPNIC、JPRS、日本国政府の役割が明確化されるなど、公共性を有するJPドメイン名の適切かつ安定的な管理に向けた取組が進められている(図表2))。

 
図表2) JPドメイン名の登録件数の推移

図表2) JPドメイン名の登録件数の推移
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 JPドメイン名に関していえば、地方公共団体向けの属性型ドメイン名として新たに「.LG.JP」が新設され、2002年10月より登録が開始されている。
 日本語をはじめとする国際化ドメイン名については、2003年3月7日に、IETF(Internet Engineering Task Force)において3つのRFC(注)(Request for Comment)が発行され(RFC3490 IDN、RFC3491 NAMEPREP、RFC3492 Punycode)、技術標準が確定した。JPドメインについては、プラグインソフトの導入等による日本語ドメイン名の利用が可能であるが、現在、上記RFCへの準拠化に向け準備を行っている。
 このほか、ドメイン名における地理的名称(国名等)の保護、DRP(Dispute Resolution Policy: ドメイン名紛争処理方針)等、我が国のインターネット利用者にとって分かりやすく使いやすいドメイン名の利用環境整備の実現には、国際的な議論への反映が極めて重要であり、総務省としても、ICANN政府諮問委員会等を通じて積極的に働きかけていくこととしている。

3 国際的なインターネットの安定性の確保

 2001年9月11日に発生した米国同時多発テロを受け、国際的な広がりを持つインターネットの安定性の確保は極めて重要な課題となっている。また、2003年1月に韓国等で発生した大規模なインターネット障害は、我が国には大きな影響はなかったものの、韓国において深刻な事態をもたらし、情報通信政策を推進する上で情報セキュリティの確保が極めて重要な課題であることを明らかにした(1-5-6参照)。総務省は、ルートネームサーバをはじめとするインターネット基盤が安定的に機能するように、ICANN等の国際的なインターネットの運営体制を支援しつつ、これらと連携し、必要な措置を講じていくこととしている。



(注)インターネットに関する技術の標準を定める任意団体であるIETFが発行する、インターネットに関する技術情報や仕様、運用規則等を定める文書

 

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