平成15年版 情報通信白書

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第1章 特集「日本発の新IT社会を目指して」

第5節 情報セキュリティの確保と安心できるIT社会の構築

第5節の要旨
 ブロードバンド、電子商取引、モバイルワークなど、情報通信の普及・高度化は利便性をもたらすだけでなく、情報セキュリティのリスクを増大させている。今日、情報通信にかかわるすべての者があらゆるリスクを想定した情報セキュリティの必要性と対策を認識する「セキュリティ文化」を早急に確立する必要性は高い。
 第5節においては、情報セキュリティに対する意識や侵害事例の動向を概観した上で、個人及び企業の被害状況の把握と被害額の推計、情報セキュリティ対策の現状とその課題の分析を行う。また、情報通信セキュリティビジネスの動向、情報通信ネットワークの安全性・信頼性を脅かす事例、諸外国における対策を紹介する。

(情報セキュリティに対する意識と被害の状況)

○ インターネット等を利用する上で、情報セキュリティ対策が個人及び企業の双方にとって最大の課題となっている。また、使い勝手や利便性を犠牲にしてもセキュリティの確保を重視する個人、企業が半数を占めている。
○ 平成14年に約3割弱の個人(パソコン利用の場合)と4分の3の企業が情報セキュリティの被害に遭遇している。被害内容は、コンピュータウイルスによるものが最も多い。
○ 平成14年における我が国の個人ユーザの情報セキュリティ被害額は約400億円、企業の被害額は約3,500億円と推計される。

(情報セキュリティに関する対策と課題)

○ 個人では、3人に2人は何らかの情報セキュリティ対策を実施しているが、一部の利用者においては知識不足やメンテナンス不足によって情報セキュリティ対策が一時的なものにとどまっている可能性がある。
○ 企業は約98%とほとんどの企業で何らかの対策を実施しているが、対策の計画や実施に比べると、対策の効果・有効性の検証やセキュリティポリシー、対策等の見直しについては、実施できていないとする企業の割合が多い。

(情報セキュリティビジネスの動向)

○ 情報セキュリティビジネスの市場規模は、平成14年度(2002年度)の約4,600億円から平成19年度(2007年度)には約1兆9,000億円と約4倍に成長すると予想される。

(情報通信ネットワークの安全性・信頼性、諸外国における対策)

○ 平成15年1月にSQLスラマーが韓国等で過去最大規模のインターネット障害を引き起こすなど、情報通信ネットワークの安全性・信頼性を脅かす事例が発生している。
○ OECDは、2002年7月に「情報システム及びネットワークのセキュリティのためのガイドライン」を発表し、「セキュリティ文化」を提唱している。米国やEUでも情報セキュリティ対策を強化している。

 

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