平成15年版 情報通信白書

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第1章 特集「日本発の新IT社会を目指して」

(4)コンテンツ事業者の対応

エンターテイメント系のコンテンツに期待

1 コンテンツ事業者の意識

 インターネットコンテンツ事業者の意識についても調査したところ、事業者側でインターネットコンテンツ市場拡大の阻害要因として考えている事項は、「ユーザ側にお金を払う意識がない」が58.0%と最も多く、次いで、「魅力あるコンテンツが不足」が36.0%となっている(図表1))。有料コンテンツ未利用者と同じく、事業者側においてもコンテンツの価格面と魅力あるコンテンツの不足が上位を占めている。これらに続いて、「著作権処理が煩雑」が30.0%、「ブロードバンドサービスの普及が不十分」が26.0%、「課金システムの不備」が22.0%と続いている。

 
図表1) コンテンツ事業者が考えるインターネットコンテンツ市場拡大の阻害要因(3つまで選択)

図表1) コンテンツ事業者が考えるインターネットコンテンツ市場拡大の阻害要因(3つまで選択)
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2 コンテンツビジネス拡大に向けた事業者の対応

 有料コンテンツの利用者側及び事業者側双方の意識調査を勘案すると、インターネットコンテンツ市場を拡大するために解決すべき課題としては、価格面以外で主たるものは、魅力あるコンテンツの充実、著作権と利用条件の調整、通信品質の改善が挙げられる。
 これらの課題に対する対応状況について、コンテンツ事業者に対し調査を行った。魅力あるコンテンツ充実のため重視する対策としては、「魅力あるコンテンツの発掘・創造」が66.0%と最も多く、次いで「著作権等の権利処理を容易にする」が48.0%とこれに続いている(図表2))。今後有望であると考えるインターネットコンテンツについては、ゲーム及び映画が60.0%と最も多く、次いでテレビ、音楽がそれぞれ4割以上であり、エンターテイメント系のコンテンツが伸びると予想している(図表3))。

 
図表2) インターネットコンテンツ充実のために重要と考える事項(3つまで選択)

図表2) インターネットコンテンツ充実のために重要と考える事項(3つまで選択)
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図表3) 今後有望と考えるコンテンツ(複数回答)

図表3) 今後有望と考えるコンテンツ(複数回答)
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 著作権問題については、インターネット上での不正なファイル交換等の不正使用防止のため重要と考える対策として、「DRM(デジタル著作権管理)等の不正使用防止技術」が60.0%、次いで「不正使用に対する取り締まりを強化」が52.5%と重視されている。不正取り締まりに期待するとともに、事業者自らの対策としてはDRM等を採用することが重要と考えられている(図表4))。

 
図表4) インターネットコンテンツの不正コンテンツ使用防止のために重要と考える対策(2つまで選択)

図表4) インターネットコンテンツの不正コンテンツ使用防止のために重要と考える対策(2つまで選択)
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 通信品質の安定性確保のために事業者が実際に採用している対策としては、「iDCの利用」が52.5%と最も多い。次いで、「FLASHの採用」が37.5%、「ストリーミング技術の改善」が30.0%と、ネットワークの負荷を軽減する技術の採用が続く。「CDN(コンテンツ配信ネットワーク)」については、現時点で採用している比率は12.5%となっている(図表5))。

 
図表5) インターネットコンテンツの効率的配信のため採用している対策(複数回答)

図表5) インターネットコンテンツの効率的配信のため採用している対策(複数回答)
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(注1)FLASHはアニメーション作成ソフトで、データ量が小さく処理も軽くすることができるため、ウェブコンテンツでアニメーションを実現する際、利用されている
(注2)エンコードとは、データの圧縮や暗号化等、一定の規則に基づきデータを符号化すること
(注3)IPマルチキャストとは、ネットワーク上で同時に多数の者に対し同じ情報を送信する技術であり、1対1の通信を繰り返すのに比較して、1回の通信で済むため効率がよい

 

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