平成3年版 通信白書

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第1章 平成2年情報通信の現況

(2)地域間の情報交流状況

 ここでは、地域間のパーソナルな情報交流について代表的な手段である加入電話と郵便を取り上げ、それぞれの地域の特徴をみる。
 ついては、[1]自都道府県内で交流が行われる比率、[2]各ブロック(注)内で交流が行われる比率、[3]他都道府県との交流全体の比率を100とした場合の交流状況の三つの視点から分析する。
 ア 加入電話
 我が国における元年度の加入電話の都道府県間の情報交流状況をまとめたのが、第1-3-13表である。
(自都道府県内の情報交流状況)
 自都道府県内に完結する通話の割合は全国平均で82.3%である。各県ともおおむね80%台であるが、北海道と沖縄については、地理的状況を反映しており、特に北海道については、1道1ブロックという社会経済特性を反映し、道内で完結する比率が95.9%と高くなっている。
 他方で、関東ブロック内の埼玉、千葉、神奈川及び東京並びに近畿ブロック内の滋賀、京都及び奈良においては、自都道府県内に完結する通話の割合は70%台と低くなっている。東京は、我が国の政治経済活動の中心として関東ブロック内にとどまらず全国各地へ情報を発信していることを反映し、関東ブロック内の埼玉、千葉及び神奈川並びに近畿プロック内の滋賀、京都及び奈良については、各ブロックの中枢である東京、大阪あるいはその近隣への交流が多いことによる。これは東京及び大阪の吸引力の強さを端的に反映しているとみられる。
(ブロック内における都道府県間の情報交流状況)
 自プロック内に完結する通話の割合は、全国平均で93.0%であり、おおむね共通している。この中で東京を除く関東ブロック内の各県及び九州ブロックにおいて、自ブロック内に完結する通話の割合が高くなっている。九州ブロックについては、福岡あての通話の割合が高いことを反映している。郵便と合わせると福岡が九州における情報交流の中核的位置を確立していることが示されている。
 ブロック内における都道府県間の情報交流状況の特徴をみる。東北ブロックにおいては、宮城あての通話の割合が高いが、青森、秋田、新潟及び福島においては東京あての通話の割合が高く、これらの県と東京のむすびつきが相対的に強いことが示される。
 中部ブロックについても、長野、静岡両県は東京との交流が強く、名古屋を中心とする情報圏は、愛知、岐阜及び三重の3県にとどまっている。
 北陸ブロックにおいては、石川を中心に情報の交流が行われている。中国ブロックにおいては、岡山、広島及び山口の山陽地方の情報圏と鳥取及び島根の山陰地方の情報圏に分かれる。これは中国ブロックを中国山脈が横断しているという地理的・経済的な特性を反映している。また、山口と福岡の間において密接な情報交流が行われ、山口が経済的に福岡と密接な関係にあることを示している。
 四国ブロックにおいては、高知等で大阪あての割合が高いことが特徴的である。
(全国的な都道府県間の情報交流状況)
 各地域とも東京との情報交流が活発であるが、取り分け富山、長野及び静岡以東の東日本全域並びに九州及び沖縄地方について強いむすびつきがあり、情報交流の拠点としての東京の姿がうかがわれる。
 大阪に対しては、福井、滋賀及び三重以西であるとともに広島及び島根以東である地域及び四国の各県に強い情報交流がみられる。
 なお、自県を含む交流全体を100として、各都道府県について、電話の相手側都道府県の発信又は着信のいずれかで2%以上を占めていることを基準として作成したのが第1-3-14図である。
 この図からも、東京、大阪を拠点とする情報交流の広がりがうかがわれるとともに、福岡、宮城等がブロックにおける情報交流の拠点となっていることが分かる。
 イ 郵便
 元年度の郵便の都道府県間の情報交流状況をまとめたのが、第1-3-15表である。
 郵便については、[1]自都道府県内あるいはブロック内で情報交流が完結する比率は加入電話に比べかなり低い、[2]他県との交流は圧倒的に東京の比重が高いという特徴がみられる。
 これは、郵便料金が全国均一で遠距離通信について相対的に低価格であること、金銭の請求、意思決定の連絡等儀礼的な情報交換は文書によって行われるが、このような意思決定等が東京に集中していることを反映したものとみられる。
 (自都道府県内の情報交流状況)
 自都道府県内に完結する郵便の割合は全国平均で55.3%である。都道府県ごとにみると、関東ブロック内の各県の比率が低いことが目立つ。これは東京が全国を対象とした情報交流の拠点である等加入電話の場合と同様の理由による。その他宮城が低くなっているが、これは東北ブロックがブロック内のむすびつきが強く、同ブロック内において中核的役割を果たしている宮城からブロック内の各県あての郵便の割合が高いことを反映している。
(ブロック内における都道府県間の情報交流状況)
 自ブロック内に完結する郵便の割合は全国平均で74.0%である。
 ブロック単位でみると、東北ブロック及び九州ブロックの自ブロック内に完結する割合が高くなっている。これは、東北ブロックについては宮城、九州ブロックについては福岡あての割合が高いことを反映している。
 郵便については、各都道府県から東京あての比重が高いが、その他の点では加入電話と類似した傾向がみられる。
 ブロック内における都道府県間の郵便による情報交流状況を詳細にみると、東北ブロックにおいては、加入電話に比較すると宮城の比重が高くなっている。
 近畿ブロックにおいても、滋賀、京都及び和歌山では大阪あてよりも東京あての郵便の割合が高く、東京に次ぐ大都市である大阪でさえ、郵便については自ブロック内で東京に次ぐあて地となっており、情報交流での東京の強さを裏付けている。
 四国ブロックにおいては、加入電話の場合に比べ、東京及び大阪あての割合が更に高く、四国内での交流を上回っており、ブロック内の情報交流は稀薄である。
 (全国的な都道府県間の情報交流状況)
 東京は、宮城、兵庫及び奈良を除く全ての輛道府県において、第1位の郵便のあて先となっており、郵便という公式的情報伝達の色彩が強いネットワークでは、ほとんど東京一色に近い全国的な情報圏が構築されていることが分かる。

第1-3-13表 都道府県別通話の交流状況(1)

第1-3-13表 都道府県別通話の交流状況(2)

第1-3-14図 都道府県間通話交流状況(元年度)

第1-3-15表 都道府県別郵便物の交流状況(1)

第1-3-15表 都道府県別郵便物の交流状況(2)

 

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