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第2章 豊かな生活と情報通信1 産業の情報化の動向(1)80年代における産業の情報化の動向ここでは、80年代における産業の情報化に深いかかわりのあった電気通信分野の動きについて振り返るとともに、各種通信回線や情報通信機器等の装備状況から産業分野全体の情報化の進展状況について概観する。ア 産業の情報化をとりまく電気通信分野の動き 80年代における産業の情報化の動向について概観する際、それを支える電気通信の分野において制度面の大きな変革があったことは見逃せない(第2-2-1表参照)。 昭和57年10月の公衆電気通信法の一部改正によって、データ通信回線の利用がより自由にできるようになったこと、並びに、いわゆる中小企業VAN制度が創設されたことにより、ネットワーク化の動きは一層促進されていった。 さらに、昭和60年4月の電気通信事業法等の施行に伴い、すべてのデータ通信事業は第二種電気通信事業として営むことが可能となり、いわゆるVANサービスが事業として発展するための制度が整った。 また、国際通信の分野においても、昭和62年4月の電気通信事業法の一部改正により、国際通信法制との整合性を確保しつつ、第二種電気通信事業者による国際VANサービスの提供が可能となった。 イ 装備面にみる産業の情報化の動向 80年代には、産業分野における情報通信に対するニーズにこたえる形で、パケット交換サービスを皮切りに高速デジタル専用線サービスやISDNサービス等、データ通信システムのネットワーク化を促進する新しい電気通信サービスが続々と出現し、情報化の進展を一層加速させている。 データ通信を主要な用途とする電気通信サービスについて、80年代における産業分野の装備状況の推移をみると、就業者千人当たりの装備回線容量は、昭和55年度の0.8kb/sから元年度には138.1kb/Sへと飛躍的な伸びを示している(第2-2-2図参照)。 特に、昭和59年度から昭和60年度にかけての伸びは著しいが、これは昭和59年度にサービスが開始された高速デジタル専用線サービスを各企業が積極的に装備したことが要因である。 一方、通信回線と共にデータ通信に必要不可欠なコンピュータの装備状況についてみるため、通商産業省の「電子計算機納入下取調査」を基に、就業者千人当たりに対する汎用電子計算機の装備状況をみると、産業分野全体では昭和55年度の1.50台(金額ベースでは7,080万円)から昭和63年度には6.47台(同1億6,610万円)に増加している(第2-2-3図参照)。 これを業種別にみると、台数ベースでは、卸売・小売業における伸びが著しく、昭和63年度における装備状況では精密機械器具製造業とともに群を抜いている。金額ベースでは、金融業における装備状況が常に著しく高い水準にあり、電気機械器具製造業がこれに次いでいる。また、金額ベースにおける伸びについてみると、運輸・通信業において昭和60年度に対前年度伸び率186%という著しい伸びがみられるほかは、業種による顕著な差はみられない。 また、郵政省で昭和60年度以降毎年実施している「ネットワーク化動向調査」によって、全国の事業所のうちでネットワークを利用している事業所の割合を示す「ネットワーク普及率」の推移をみると、昭和60年度以降順調に伸びており、2年度には前年度比3.0ポイント増加の16.6%になっている(第2-2-4図参照)。
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