平成16年版 情報通信白書

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第1章 特集 「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」

1 進化するネットワークインフラ

(1)世界最高水準のブロードバンド

ブロードバンド契約数は1,500万契約に

1 普及するブロードバンド

 我が国のブロードバンドインフラは高速かつ低廉な世界最高水準なものとなっている。我が国では、平成13年1月に策定した「e-Japan戦略」に基づきブロードバンドインフラの整備に取り組み、「少なくとも高速インターネットアクセス網に3,000万世帯、超高速インターネットアクセス網に1,000万世帯が常時接続可能な環境を整備する」という「利用可能環境整備」の目標が設定された。平成16年2月時点において、高速インターネットアクセス網への加入可能世帯数はDSL(デジタル加入者回線:Digital Subscriber Line)で3,800万世帯、ケーブルインターネットで2,300万世帯、超高速インターネットアクセス網であるFTTH(Fiber To The Home)で1,806万世帯となり、当該目標は達成されている。
 ブロードバンド回線契約数も、平成15年度末で1,495万契約に達している(図表[1])。電話回線に専用のモデムをつけて利用するDSL契約数は平成15年度末に1,120万契約に達し、ブロードバンドサービス利用の拡大を牽引してきた。従来、最大1.5Mbps程度から20Mbps程度のサービスが提供されていたが、平成15年11月には最大40Mbps程度のサービスも開始され、超高速インターネットアクセスの提供も可能となってきている。

 
図表[1] ブロードバンド契約数の推移

図表[1] ブロードバンド契約数の推移
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 ケーブルテレビ網を利用したインターネット接続サービスであるケーブルインターネットの契約数は、平成15年度末に258万契約となり、着実な普及を続けている。DSL、FTTH等との競争が進む中で、30Mbpsの高速サービスやIP電話サービスを提供する事業者も出てきており、ケーブルテレビ事業者の自主放送や地上テレビジョン放送の再送信等の映像配信とあわせた、いわゆるフルサービス化が進展している。
 FTTHは、DSLやケーブルインターネット以上に高速な通信が可能な超高速ネットワークであり、平成15年度末の契約数は114万契約となり、平成14年度末の31万契約に比べ、3.7倍に増加している。

2 ブロードバンド利用人口の増加

 ブロードバンド(FTTH、DSL、ケーブルインターネット、無線(FWA等))利用人口は、平成15年末現在で2,607万人(対前年度比33.4%増。人口普及率(注1)は20.4%)と推計される(注2)。ブロードバンド利用者はインターネット利用人口7,730万人中33.7%を占め、既にインターネット利用者の3人に1人以上がブロードバンドを利用している。
 自宅のパソコンからインターネットを利用する場合にブロードバンドを利用している世帯の比率も、平成14年末の29.6%から15年末の47.8%に1年間で18.2ポイント増加している。ブロードバンドとISDN(常時接続)を合わせた常時接続回線は61.7%の世帯が利用している。これに対し、ISDNや電話回線によるダイヤルアップ接続を利用している世帯は56.1%から38.4%になり、対前年比で17.7ポイント減少している(図表[2])。

 
図表[2] 自宅におけるパソコンからのインターネット接続方法の推移

図表[2] 自宅におけるパソコンからのインターネット接続方法の推移
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3 ブロードバンドインフラの有効活用

 一方で、ブロードバンドの加入可能世帯数は、e-Japan戦略の利用可能環境整備の目標は達成されているが、加入可能世帯数に比べた実利用(契約数)の比率は、平成14年度末に比べ平成15年度末では、DSLで約20%から約30%、ケーブルインターネットで約9%から約11%、FTTHで約2%から約6%と増加はしているものの、いまだ低い水準にとどまっている(図表[3])。

 
図表[3] ブロードバンド回線契約数(実利用)が加入可能世帯数に占める割合

図表[3] ブロードバンド回線契約数(実利用)が加入可能世帯数に占める割合
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 日本のブロードバンドインフラは整備されているものの、利用可能な資源を有効に活用し切れているとは言い難いため、利用者にとって魅力のある新しいアプリケーションの提供が期待される。

4 ブロードバンド料金の動向

 ブロードバンド料金は低廉化が続き、急速なブロードバンド普及の一因となっている。また、各国のDSL及びケーブルインターネットの料金を100kbps当たりの料金に換算し比較すると、我が国の料金は国際的にみても最も低廉な水準となっている(図表[4])。さらに10Mbpsから100Mbpsのブロードバンド月額提供料金の低廉さにおいて、OECD(経済協力開発機構: Organisation for Economic Co-operation and Development)加盟国の事業者が提供する上位10サービスのうち8つを日本の事業者が提供するサービスが占めている(図表[5])。このような低料金を実現している背景には、我が国のブロードバンド市場が非常に競争的であることがある。DSLの契約数に占めるNCC(新規参入事業者:New Common Carrier)のシェアは、平成15年度末には63.5%となっている(図表[6])。

 
図表[4] ブロードバンド料金の国際比較(100kbps当たりの料金、2003年7月)

図表[4] ブロードバンド料金の国際比較(100kbps当たりの料金、2003年7月)
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図表[5] 10Mbpsから100Mbpsのブロードバンド料金の世界上位10サービス(2003年10月)

図表[5] 10Mbpsから100Mbpsのブロードバンド料金の世界上位10サービス(2003年10月)
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図表[6] DSLサービスにおける契約数のシェアの推移

図表[6] DSLサービスにおける契約数のシェアの推移
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5 利用者のブロードバンド利用料金に対する意向

 ブロードバンド利用者の、ISP(インターネット・サービス・プロバイダ:Internet Service Provider)等に回線利用料金として支払っている額は、月額で3,000〜4,000円未満が最も多く、次いで4,000〜5,000円未満が続いている。一月当たりの平均利用料金は約4,200円となっている(図表[7])。

 
図表[7] 現在ISP等に支払っている月額利用料金

図表[7] 現在ISP等に支払っている月額利用料金
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 ブロードバンド利用者に対し、今後どの程度の料金でブロードバンドを利用したいかを尋ねたところ、現在の月額利用料金が4,000円以上の層では「現在の月額利用料金未満」という回答が最も多いのに対し、現在の月額利用料金が4,000円未満の層では「現状と同程度」又は「現在の月額利用料金以上」という回答の方が多くなっている(図表[8])。また、ブロードバンドを利用するきっかけを尋ねたところ、「コストパフォーマンス」という回答が最も多い(図表[9])。

 
図表[8] 今後利用したいブロードバンド月額利用料金

図表[8] 今後利用したいブロードバンド月額利用料金
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図表[9] ブロードバンドを利用するきっかけ

図表[9] ブロードバンドを利用するきっかけ
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6 ブロードバンド普及状況の国際比較

 ブロードバンドの普及状況について国際比較すると、2002年において契約数では我が国は米国の1,988万契約、韓国の1,013万契約に次いで第3位となっている。ブロードバンド契約数の人口普及率では、韓国が21.3%と突出して第1位であり、我が国は第9位となっている(図表[10])。

 
図表[10] ブロードバンド契約数及び人口普及率の国際比較(2002年)

図表[10] ブロードバンド契約数及び人口普及率の国際比較(2002年) 資料1-1-2参照
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(注1)平成15年末人口普及率は、我が国のインターネット人口、ブロードバンド人口を平成15年末の全人口推計値1億2,752万人(「我が国の将来推計人口(中位推計)」(国立社会保障・人口問題研究所、平成15年1月))で除すことにより算出
(注2)ブロードバンド利用人口の推計方法については、資料1-1-1参照

関連ページ:インターネット利用人口については1-2-1(1)参照

 

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