平成16年版 情報通信白書

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第1章 特集 「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」

(2)ユビキタスネットワークへの企業の期待

ユビキタスネットワークに対して大きな期待が寄せられている

1 ユビキタスネットワークへの企業の期待

 現在日本の多くの企業において、消費者向け企業、事業者向け企業ともに、ブロードバンド・モバイルネットワークの導入・活用が進んでおり、様々な形で高度情報通信ネットワーク環境の恩恵を受けている。他方、電子タグ、非接触型ICカード、情報家電等の活用は始まったばかりであり、現状の利用率は低いものの、消費者向けサービス、事業者向けビジネスの高付加価値化、自社内の業務効率化のすべてにおいて、ユビキタスネットワークへの期待は高くなっている。
 ユビキタスネットワークが生み出す特長のうち、どのような要素が事業・業務に強い影響を与えるかを尋ねたところ、「場所を問わずネットワークが利用可能」というモバイルネットワークの特性、「大容量の情報を安価で受発信可能」とするというブロードバンドの特性、「簡単な操作で情報通信機器が利用可能」、「電子タグ等で履歴情報が追跡・管理可能」、「情報通信端末が様々な用途で利用可能」といったユビキタスツールの特性について、特に大きな影響を与えると期待されている。また、消費者向け企業と事業者向け企業とを比較すると、前者は、「簡単操作で情報通信機器が利用可能」になることや、「あらゆる端末・ネットワークでサービス展開可能」といった消費者の利便性が向上する特長への関心が高く、後者は、「電子タグ等で履歴情報が追跡・管理可能」や、「監視やセンシングの利用が促進」といった特長への関心が高い(図表[1])。

 
図表[1] 事業・業務に大きな影響を与えるユビキタスネットワークの特長(複数回答)

図表[1] 事業・業務に大きな影響を与えるユビキタスネットワークの特長(複数回答)
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 また、事業者向け企業に最も大きな影響を与える要素を尋ねたところ、電子タグ等による履歴情報管理、監視やセンシングの利用促進、あらゆる端末・ネットワークでサービス展開が可能といったユビキタスネットワークならではの項目について、多くの企業が事業や業務に最も大きな影響を与えると回答している(図表[2])。

 
図表[2] 事業・業務に最も大きな影響を与えるユビキタスネットワークの特長(事業者向け企業、一つだけ回答)

図表[2] 事業・業務に最も大きな影響を与えるユビキタスネットワークの特長(事業者向け企業、一つだけ回答)
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2 ユビキタスネットワークへの期待の日米比較

 自社の事業に影響を及ぼすユビキタスネットワークの持つ特長について尋ねたところ、日米の企業ともにユビキタスネットワークの生み出す様々な特長について幅広く評価している。日本企業が「場所を問わずネットワークが利用可能」、「電子タグ等で履歴情報が追跡・管理可能」といった特長を強く認識している一方、米国企業は「ネットワークの安定性が向上」といった特長への期待が強い。
 また、最も期待する特長は、米国企業では「大容量の情報を安価で受発信可能」や「高セキュリティな情報通信」等、従来のネットワーク機能の更なる高度化から得られるメリットを挙げている企業が多いのに比べ、日本企業では「電子タグ等で履歴情報が追跡・管理可能」、「あらゆる端末・ネットワークでサービス展開可能」といった、ユビキタスネットワークならではの特長を挙げている企業が多い(図表[3])。ユビキタスネットワークを新たな特性を持った情報通信技術としてとらえ、独自の特長に着目している日本の企業と、ユビキタスネットワークを従来のネットワークの延長線上としてとらえている米国の企業の差が現れているものと考えられる。

 
図表[3] ユビキタスネットワークの持つ特長の中で、事業・業務に影響を与える特長の日米比較

図表[3] ユビキタスネットワークの持つ特長の中で、事業・業務に影響を与える特長の日米比較※
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